第28話 初任務?
モフモフ島にある5つの島のうち、一番小さな島に頑丈そうな建物やモニターなどの設備が完成した。
---------------モニター完成したね
《真っ黒ですね》
---------------電源が入ってないのかな。
まだ起動していないらしく、モニターは真っ黒だ。モニターの隣にはソーラーパネルも建設された。珍しい物が好きなモフモフがパネルの上に乗りたそうに見つめている。壊さなければいいのだけれど。
しばらく完成した設備を眺めていると、ノックス中尉と作業員数人がやってきた。起動前の最終的な作業をするようだ。
モニターを設置している小さな島に僕らがいると、最終作業の邪魔そうだったので、僕らは海に入って作業を眺めることにした。
しばらくすると最終作業が完了したらしく、ノックス中尉から僕らへ向かって合図がきた。ついに全ての設備を起動するようだ。モニターに電気が通り、ファイン少尉が映し出された。
---------------おお、ファイン少尉だ。
《お姉さんが映りましたね》
大きくてなかなか見やすいモニターだ。じーっと見ていると。
《目がチカチカしますね》
ニノはモニターを見慣れていないようだ。自然界にはないから仕方ない。前世では見慣れていたはずの僕まで目がチカチカしてきた。
ニノと同じ身体なのだから当然だ。
◇
数日後。
平和で静かなモフモフ島。
設置されたモニターが点灯し、スピーカーからサイレンが鳴り響く。
---------------何事?!
初めて聞く爆音に驚いた。
モフモフたちも爆音に驚き、何故かぐるぐると走り回り始める。
---------------ビックリしたね!
《はい。大きな音ですね》
設置されたモニターにファイン少尉が映し出された。
モニター上部に設置されているカメラで僕らがいることを確認したファイン少尉が話を始める。
「アルファ・ワン、エビ型の巨大生物が北部地域に多数出現したので、対応をお願いします」
ファイン少尉から初の指令だ。さらにファイン少尉からの話が続く。
「最近、アルファ・ワン以外にも北部地域で巨大生物が多数発見されています。その巨大生物たちをアルティア共和国と同盟国のジャピア王国へ出来るだけ近づけないようにして下さい。追い払うだけで大丈夫ですよ」
【分かりました】
ファイン少尉は僕らが食事以外で巨大生物を殺さないと知っている。
そのため僕らの対応は巨大生物を追い払うだけという約束になっていた。
「洋上艦が先導するので、ついていって下さい」
いよいよ初の出動だ。
◇
海に出ると、ニノが洋上艦を発見した。
《船がいますよ》
---------------軍艦だし、あれで間違いないね。ついて行こう。
モフモフ島から少し離れた場所に一隻の洋上艦が待機している。
僕らは海上へ頭を出してツノを点滅させてみる。
ツノを点滅させている僕らを確認した洋上艦は前進を始めた。僕らは、その洋上艦の後方200mぐらいをついていく。
洋上艦は徐々にスピードをあげていくが、僕らは問題なくついていく。海上でのスピードなら洋上艦に遅れをとることはない。
◇
しばらく航行した後、洋上艦が停止した。この付近に巨大エビが大量にいるらしい。
--------------ニノ、潜ってみよう。
《はい》
この辺りの海は、それほど深くはないようだ。少し潜っただけで巨大エビを発見した。
--------------巨大エビいるね。
《たくさんいますね。美味しそうですね》
ここまで張り切って泳いできたので、僕らはすっかり空腹だ。
1匹だけ美味しくいただいて、残りの巨大エビは南東へと追い払う。
基本的に巨大エビは僕らを見ると逃げていく。
羊を追い立てる牧羊犬のイメージなのだが、エビは羊ほど賢くないので思った方向に逃げてはくれない。
-------------これ、大変だね。
《エビ、好きな方向に動きますね》
--------------ニノならエビの行動パターン覚えられない?
《頑張ってみます》
ツノを点灯させて目立つように巨大エビへ近づいてみる。
左右へ逃げる巨大エビ、遠のく巨大エビ、何故か近づいてくる巨大エビなど様々だ。
---------------エビの行動パターン分かった?
《難しいです》
---------------ニノでもダメか。仕方ない。1匹ずつ頑張ろう。
《はい》
仕方ないので、1匹づつ丁寧に巨大エビを追い払うことにした。
それから僕らはコツコツと巨大エビを南東へ追いやり続ける。そうして何とか数日後には、周辺海域に巨大エビの姿が見えなくなっていた。
《エビ、いなくなりましたね》
---------------そうだね。これで任務完了かな。
苦労はしたが、ファイン少尉からの初任務を無事に完了させることが出来て一安心だ。
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