第11話 交錯

仲直りした次の日。今日からまた少し前と違った生活がはじまる。玄関を開けると、いつもの太に加えて2名。桜と真玲だ。


「涼殿! 拙者を困らせないでくれ、でござる!」

 何やら凄い焦っている太


「大丈夫だって。太もオタクなんだし、仲良くなれるよ」

 太とも話が合うはずだ。2人も優しいし。


「ぬっ、涼殿は見せかけのコミュ障でござる! 本当の人見知りを舐めないでくれでござる」

 と逆ギレ気味に反論されたが。


「まぁ、時間かけて仲良くなればいいよね? まだ新学期始まったばかりだし」

 真玲の言う通り、新学期は始まったばかり。


「始まったばかりで、変わりすぎなんだけどな」

 激動すきるだろ。マジで。某野球漫画の主人公よりはマシだけど。



 まぁ今日ももちろん学校に登校するわけだが、案の定、登校していると目線を感じる。まぁでも、今日から変えるってことになったしな。そのまま、視線の嵐を耐えてそのまま教室へ。


 教室に入ると、

「あれ? そんな仲良かったっけ?」

 と俺の前の席の飯野が話しかけてきた。


「そうだよ! アニメが好きなことから仲良くなってね」

 と真玲が言う。ちなみに真玲の座席は、俺の左前、すなわち飯野の隣だ。五十音順の巡り的にこうなっている。あれ、離れている太が仲間になりたそうにこちらを見ている……すまない。こればかりは。


「桐峰さんってアニメ好きなんだ? 意外だね」

 やはり、皆そう思うのか。外見って大事なんだな。オタクの顔面偏差値をなんだと思っているのか。Fランじゃないですよ! 真玲で平均値だいぶ上がってるし、山王さ、真凛も美人だし。女王様は話したら普通の人だったし。仲直り後のスマホでのメッセージのやり取りの1部を紹介しよう。


「なんか、ごめん。いやほんとに。真玲とも仲良いみたいだし、仲良くしてくれると助かる」

 と固いメッセージの後に、可愛い動物キャラのスタンプ。可愛い。ギャップ萌えタイプなのねあなた。


「気にしてないから大丈夫。仲良くするよ」

 と返信すると、


「まぁ、呼び方は名前呼びでいいよ。よろしく、涼」

 最近の子って、名前呼び慣れてるの? 俺もしかしておじさんなの? などありましたて。




「そうかな? ま、アニメって最高だし」

 回想シーンから戻ってきました。強気に言った真玲だが、少しまだ怖いのか声が震えていた。


「それな。俺もスポーツアニメとかは好きだぜ」

 流石は飯野! いい男だぜお前は!


「スポーツアニメもいいよね!」

 真玲も安心し、飯野とも意気投合したようだ。皆、アニメ好きだといいんだけど……ね。




 昼食の時に問題は起きた。俺らグループで集まろうとすると、山王グループに所属していた、クラスメイトの 矢野千里やの ちさとが俺に話しかけてきた。


「あのさ、うちの真玲と仲良くしてるの何? まさか昼食も一緒に食べる気?」

 と絡んできた。すると、


「千里どうしたの? やまりょうに絡んでるけど」

 真玲が間に入ってくれた。落ち着いてるように見せていたが、少し苛立っていたのがわかった。


「何真玲? なんの冗談なの?」

 矢野さんもかなり苛立っている。


「いやまぁいろいろありましてですね~! アニメ好きから仲良くなったわけですよ」

 と煽る真玲。


「は? 真玲ってオタクなの? 引くわー」

 と矢野さんが言うと、


「あんたこそ、リーダー失って調子乗りすぎじゃない? 佐生君も狙えるようになってよかったね」

 と真玲も対抗する。これではまた壮絶な喧嘩に……


「おいおい、また何喧嘩してるんだよ」

 と山王グループと一緒に昼食を取っていた佐生が止めに入った。


「なんでもない」

 矢野さんは濁した。佐生に嫌われるのが嫌なのだろうか。


「ちなみに真凛もオタクだからねー」

 と真玲がダメ押し。


「!! ま、まぁ俺もアニメとかは良いと思うぞ」

 佐生は少し驚いた様子だったが、援護射撃をしてくれた。でも驚き方が、何か不自然だったような気もしたが。


「わ、悪かったわよ」

 と観念したのか、矢野さんは去っていた。


「あらあらどしたん?」

 と気にかけてきてくれたのは、これまたすごい人で。


「あ、樋渡さん」

 篠崎さんが言う通り、こちらハイスペックメンツの一人でもある、樋渡 日葵さんです。


「日葵じゃん」

 真玲は、確かに絡みありそうだな。上位勢の会合というか。


「日葵か」

 佐生は野球部、樋渡さんはソフトボール部だから関りがあるかもしれない。佐生が少し焦っていたり、何か言いたそうにしていた気がしたが。



「まぁあーいう性格悪いやつ、気にしない方が良いよ。えーと真玲はともかく、委員長……じゃなくて、井山、だっけ? そーいや真玲なんか変わった呼び方してたよね」


「う、うん。私はやまりょうって呼んでるけど」


「うーん、じゃ無難にヤマとかにしよーかな。まぁ、私は、名前が日葵だし、ヒマとかでいいよ」


「えーとヒマはアニメ好きなの?」

 流石にもう女の子の扱いに慣れてきたわ。もう4人目やし。


「まぁ、真玲ほどじゃないけどね。アニメは普通に良いものだと思ってるし。あ、連絡先交換しよしよ」


 佐生、真玲、桜、太から凄い視線を感じたが、まぁ気のせいだろう、うむ。

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