にゃ王様、バンダナ。
後ろ手に袋を持った命がやってきた。
そしてその中から魔王様に見せつけるように一枚の布を取り出た。
「じゃじゃーん!バンダナ!」
『そんなもの見れば分かる。それがどうした』
「箪笥で発見したんだけど、ドラ付けて見ない?」
『我がか?』
「絶対似合う!」
『付ける許可をやるにゃ。勝手にやってろ』
「よっしゃ」
寛ぐ魔王様にバンダナを取り出しては首に当てる命。
黄、白、紫、青、赤のバンダナ。それ以外にも色とりどりの布があった。
「んーやっぱ赤、かな?でも紫もいいかもね!どっちがいい?」
『どっちでもいいにゃ』
「一回赤つけるねー」
そう言って魔王様の首に赤のバンダナを緩く結んだ。バンダナをつけた魔王様の姿を見て頷く。
「やっぱいいな」
『なんにゃ?終わったか?』
「あっ、待って待って!」
付けたそばから結ばれたバンダナを弄る魔王様。命は慌ててスマホに写真を収めた。
そしてその写真を魔王様に見せた。
「よしっ!これでどうよ!」
『…!いいぞ!』
先程までは全く興味がない魔王様だったが写真を見るとくるりと手のひらを返した。
『命、そっちのもつけるのだ!』
「どれ?青?紫?」
『全てにゃ』
「え、全部って…ドラがいいならいいけど…」
『早くするにゃ』
「じゃあ今着いてるつ外すね」
『外さんでいい!』
「ん?」
『上からつけるにゃ』
「バンダナ重ねんの⁈えー何その十二単衣〜バンダナバージョン〜みたいなの」
『じゅうにひとえ?』
「んと、これ」
しばらくスマホをいじると何重にも重ねられた美しい着物を着た写真を魔王様に見せた。
『これはいいな!』
「昔の偉い女の人の服だったらしいよ」
『そうなのか。これはいいにゃ!』
「だろ?ちなみにこれ俺」
ニヤリと笑いそこに映る人物を指差しそう言った。
『何を言っておる。そんな嘘に騙されるわけなかろう』
「いやーそれが本当なんだよね」
『ここに写っているのは女だろう!たしかに命に似てるが…』
「メイクって凄いよね」
ニコニコと笑う命は別の動画を再生した。
そこにはメイクを施されウィッグを被り着物を着せられる命の姿があった。
それを見た魔王様は驚きで固まっていた。
『何だと…!?』
「面白い体験だったな〜」
懐かしむように笑いながら固まる魔王様にバンダナを結び始める。
全てを結んでもなお魔王様が再起動することはなかった。
♢♢♢次回予告♢♢♢
魔王様いい加減口を閉じないと口がカラカラになっちゃいますよ?あれ、もうなってますか?
熱い…夏が来てしまった。
魔王様、その機械のボタン押してください…あ"ー、風が気持ちいいー。
ゴホンッ、次回!扇風機っていいね。お楽しみに!
next:にゃ王様、扇風機。
魔王様、改めにゃ王様! 星宵 湊 @shiro_fuku
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