にゃ王様、メロンパン。
『命!これは何だ!』
ガサゴソと命の鞄を漁る魔王様。突っ込んでいた顔を引き抜くと何かが入ったビニール袋を咥えていた。
「えっ⁈何してんだよ!」
『この中からいい香りがするにゃ』
「メロンパンだけど…香りってそんなにするか…?」
『メロンパン?食い物か!』
「…チガウヨー」
否定する命。しかし食べ物に対してセンサーが鋭くなった魔王様に誤魔化すことはできない。
それ以前に目を逸らしている上に棒読みで明らかに“嘘ついてます”という感じではあったのだが。それは置いておこう。
『嘘を吐くでにゃい!』
「ソンナコトナイヨ」
『食い物だろ!よこすにゃ!』
「はぁ、仕方ない…」
『おう』
「あ"ー、俺のちょっとお高めのメロンパンが…」
『別に全部とは言ってないにゃ!』
「え、本当に?一口でもいいの?」
『我は下僕から無理な搾取はしないにゃ』
「ドラ、お前…成長したなぁ…!」
『何にゃその目は!』
命の生暖かい目が魔王様に刺さる。
一体魔王様のことを何と思っているのか…飯をとっていくどら猫?
「はいここおくね」
『はぐ』
「いただきます!」
魔王様に一欠片渡すと命も手を合わせ食べ始めた。
「うっまぁ」
『パンが甘い…!』
「うん?メロンパンだしね」
『甘いパンをめろんぱんと言うのか』
「違う違う、このパンがメロンパンっていうの。ほら、メロンみたいに格子があるでしょ?こういう奴がメロンパンっていうんだよ」
『めろん?ふむ。格子があるのがめろんだな!覚えたにゃ!』
「ならよかった」
『それでメロンとは何だ』
命はコケた。正確には座っていたためコケてはないのだが、がっくりと身体が斜めった。
「メロンっていうのは緑の球体に白い網目がある果物だよ」
『果物か!』
「そうそう」
魔王様の頭の中では畑に実るメロンパンが無数に広がっていた。
そしてそこへ一匹の三毛猫が飛び込んだ。その猫はたわわに実ったメロンパンに齧り付き…
って、いやいやいやメロンパンは果物じゃなくてパンですって!そんな風にできませんよ。
『むふふ〜』
魔王様〜!!
♢♢♢次回予告♢♢♢
メロンパンはパンです!
はい、復唱!ここ、テストに出ますからね〜
服は無理でもバンダナなら家にあるかも…?
魔王様なら何でも似合っちゃいますよね!
next:にゃ王様、バンダナ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます