にゃ王様、クローバー。

「うわすっご。クローバーだらけだ」

『くろーばー?』

「ほらこれ」


命はしゃがむとあたり一面に広がるクローバーの内、近くにあるものを指差し魔王様に示した。


『この草かにゃ?』

「うん。あっ、そうだ!四つ葉のクローバーを探してみる?」

『四つ葉?』

「こっちは三つしか葉っぱがないでしょ?でもこの中に多分四つ葉があるんだ」

『そんなの探して何になるのだ?』

「さぁ?」

『意味がないのか?』

「意味がなくても楽しいかもしれないじゃん?」

『…付き合ってやっても良いぞ』

「よしっ、なら勝負しようか。どっちが先に見つけるか」

『勝負だと?くだらな』

「勝った方が昼のおかずを負けた方から一つ貰う、でどう?」

『命!遅いぞ!我が勝ちにゃ!』

「はや…」


昼のおかずを…と言った瞬間に駆け出した魔王様。現金すぎやしませんかね?

そんな様子を見た命は呆れつつも楽しげに笑っていた。


「うわー見つかんないなぁ」

『フハハハ!これで昼飯は我のものにゃ!』

「お、見たかった?」

『これを見よ!』

「よく見つけたねー」

『約束は忘れていないだろうにゃ?』

「はいはい。おかずを一品ね」

『にゃふふ、にゃふ〜』


鼻歌を歌う魔王様にご飯にしようと声を掛けた命。

レジャーシートを広げその上に座り弁当を広げた。


『よーし、命その唐揚げをよこすにゃ!あとはハムと…』

「待って待って、一つって言ったろ?」

『む、仕方ない。唐揚げだけで勘弁してやるにゃ』

「はいはい、ありがとね。どうぞ」


魔王様は命が差し出した唐揚げにすぐさまかぶり付いた。

弁当を食べながら命はクローバーを見て思い出したようにあることを話題にあげた。


「そういえば、クローバーにも花言葉があるんだっけ」

『はなことば?何にゃそれは。それにこれは草ではにゃいか』

「いや、まぁそうなんだけど」

『おかしいぞ!』

「うーんと、シロツメクサ?が花かな…でもあれってクローバーなのか?」


頭を悩ませる命だが分からないものは分からない。


「よく分かんないけど、クローバーにも花言葉…それぞれの花が持つ人間が付けた意味?的なのがあるんだよ」

『この世界の人間は変わっているにゃ』

「そうかなぁ」

『で、何だ?』

「何が?」

『クローバーの花言葉にゃ!』

「あ、それは気になってたんだ」

『いいからさっさと教えろにゃ』

「“幸運”と“約束”だよ」

『これがか?』

「そ、四つ葉のクローバーも見つけたし良いことがあるかもね」


命は「せっかくだから付けてみたら?」と言いながら魔王様が取った四つ葉のクローバーを魔王様の頭に乗せた。


「お、良いじゃん」

『にゃにをするのだ』

「似合ってるよ。よっ、色男!」

『まぁ、我は何でも似合ってしまうからな』


胸を張る魔王様。それで良いのですか⁈

それに命も魔王様の扱いが上手くなってません?



♢♢♢次回予告♢♢♢

楽しそうなら良いのですが…

それにしても幸運の花…いや、草?は何をもたらしてくれるのでしょうかね。

弁当の唐揚げだったりして…


あれ?そんなに慌ててどうされたのです?

えっ、活動?何のですか?

あっなるほど…

next:にゃ王様、ぐうたら。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る