にゃ王様、魔力。

『食った食った。我は満足にゃ』

「お粗末さま。それにしても食べ過ぎじゃないの?大丈夫?」

『問題ない。枯渇した魔力を回復するために体力が消費されて腹が空いていただけにゃ』

「魔力が枯渇?」

『アレの封印で魔力を使い切ったのだ。元の姿ならばあんなモノ朝飯前だがこの体のせいで疲れてたまらんにゃ』

「へー」

『魔力枯渇状態になると身体が怠くなる。回復するには食って寝るのが一番早にゃ』

「はえー、そうなんだぁ」

『ま、命にはあまり関係はないだろうにゃ』

「確かに俺に魔力なんてないしね」


肩を落としてそう言った命。その言葉を魔王様は否定した。


『?あるぞ』

「え」

『魔力は生物が生きるために必要とするエネルギーの一つにゃ。それはこの世界の生物も変わらん』

「ということは……」

『命にも魔力がある』

「えっ!まじで?俺も魔法使えるの⁈」

『それは無理にゃ』

「…?」


宇宙に放り出された猫の顔をする命。

それを見た魔王様は溜息を一つおいて説明を始めた。


『いいか、確かに全ての生物が魔力を持っている。しかし持っているからと言って必ず使えると言うわけではないにゃ』

「はい!質問、何で使えないの?」

『魔法を使うには適性が必要だからだにゃ』

「適正?」

『そうだ。適性が無ければ魔法は使えん。体内を巡る魔力を集め、放出する機構の有無で適性のあるなしは決まる』

「んー?」

『そうだな、例えばいくら水道菅が張り巡らされようとも蛇口が無ければ水を出すことはできないだろう。それと同じにゃ』

「つまり俺には蛇口がないから魔力を取り出せない。結果的に魔法は使えないってこと?」

『そうだ』

「くぅっ、、、魔法使いたかった…!けど俺にも魔力がるなら何か出来かもしれない!」


ローテーブルをダァンと叩きそのまま机に顔をぶつける命。

命ってば何してるんですか…

魔王さまからも何か命に言ってやってくださいよ。

ってどこに乗ってるんですか⁈そこ命の頭ですよ!


「グフッ、重い……」

『ふははは!』

「どーいーてー」

『にゃふふふ!』


数日ぶりに魔王様と命の、二人の笑い声がしばしの間響いたのだった。



♢♢♢次回予告♢♢♢

この世界の人間には魔法が使えない。命はそれでも諦めない、だと…?

っておいおい命さーん、魔王様にスマホ持たせて今度は何やらせてんの。


next:にゃ王様、ガチャ。

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