にゃ王様、寝る。

陽光が降り注ぎ爽やかな風が窓から吹き込んでくる。その中でお腹を丸出しにして寝ている魔王様。

まだこの世界に来たばかりなのに警戒しなさすぎではないですか⁈

とその時、唸りながら目を覚して体を伸ばした。


『違う』


そう言った魔王様に命はどうかしたのかと声を掛けた。


『もっと暗くて落ち着く寝殿はないのか?』

「暗くて落ち着く?布団の中とか?」

『そこは暑い!もっと涼しいところにゃ』

「暑いってもう寝たことあるんだ……」


ピンポーン、とインターホンがなった。

「はいはい」と言いながら命が出る。どうやら命宛の荷物が届いたようだった。

早速と言わんばかりに段ボールを開封する。

そこには数冊の本が入っていた。


「よっしゃ、やっと届いた」

『おい、命!我の寝殿はどうした!』

「あー……そうだ、これどう?」


空になった段ボールを差し出しながらそう言った。


「これなら暗いし、狭くて落ち着くんじゃないのか?」

『試してみるか。それを寄越すにゃ!』

「ん」

『おー!これにゃ!命、感謝しよう』

「よかったね」

『我はこのまま寝る!』

「また寝るの⁈まぁ、猫ってそんなものなのかな……?お休み」


段ボールの蓋を器用に閉めて寝る魔王様。

目が覚めたのは数時間後だった。

欠伸をしながら目を覚ました魔王様の様子がおかしい。


「ふぁっ!ここはどこだ⁈まさかまた封印か⁈」

「ふははは!そうはさせんぞ、こんなもの破ってくれよう‼︎」


そうして側から見るとバタバタと段ボールが一人でに暴れる怪奇現象が完成した。

人間がそれを見たらどうなるか……

恐怖で震えることだろう。

しかしながらここには喜ぶ人間がいた。


「えっ、何⁈怪奇現象?幽霊?悪魔?あっ、そうだ電磁波は⁈」


そう命である。

彼は目を輝かせながらクローゼットの中を漁り機械を取り出した。

それは某通販サイトで命が購入した電磁波探知機だった。そしてそれの電源を入れると部屋中をあっちへ、こっちへと歩き回った。

その間も呻き声と共にバタバタと段ボールが暴れている。


記録を終えた命がついに段ボールを開けようと手を伸ばした。その瞬間、ズボッと手が出てきた。

その手に鋭い爪とぷにぷにの肉球がついていた。魔法様の手である。

魔王様は遂に突き破ったのだった。


「えっ?」

『我にかかればこんなものよ!』

「まさか、ドラ?いや、でもそうかぁー」


ゆっくりと段ボールの蓋を開けると魔王様が現れる。

それを見た命は思わず再び蓋を閉め、項垂れた。


『おい!命、なぜ閉めた⁈』

『命〜〜‼︎』


自業自得でもあるが何故か可哀想な魔王様がそこにはいた。



♢♢♢次回予告♢♢♢

不憫さが滲み出た魔王様。落ち着けって命!

何で電磁波探知機なんて持ってんだよ。

この時期、6月と言ったら梅。

魔王様も食べるって⁈

猫は梅を食べられるのか……?


next:にゃ王様、梅。

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