にゃ王様、“青年”。
このままでは埒が明かないと、一行はとりあえず命の部屋へと向かった。
「ミコ、このニャンさん何者なん?」
「新種のU・M・A!」
間髪入れずに答える命。いや、ちょっと命さんUMAじゃなくて魔王ですよ!
『違うわーおい命!我はっ』
「はち、静かにねー」
『にゃんだと!我は
「はいはい、にゃんこにゃんこ」
「ふふ、ほんで?なんでその魔王さんが此処におるの?」
「さぁ?」
「さぁってミコ知らんの?」
「知らん。どうでもいい」
「えー、気になるやん」
「近くでUMAを観れるならそれでいいかなと」
「なんや、ミコらしい理由やね」
目を細めて笑う青年。一呼吸おいて魔王様に向き合った。
「俺は
「俺の親友だぞー」
『我の高貴な名はお主には聞こえんだろうからな。命がつけた“ドラ”という名で呼ぶことを許してやろう!』
「よろしゅう」
『そうだ、アカサカ!お前にはしかりと礼をせねばならならん!」
「へぇ、“お礼”ね……」
目を細める朱坂。
彼が「何の?」と尋ねようとする前に魔王様は言った。
「我の第二の下僕にしてやろう!」
ちょっっ、ストップ!それお礼にならないですから!喜ぶ人もいるかもしれないけどお礼、違うー!
「えーっとニャンさん?下僕って?」
『猫の王となり全人類を我の下僕にするのだ!そしてこの世界を我の手中に納めてやる!』
「猫の王?なんやねん、それ」
朱坂の混乱を無視してドヤ顔をする魔王様。しばらくしてハッとした様子で元に戻った朱坂は「あ"ーー」と呻き声を上げ、明らかに話を逸らした。
「そういえば、なんでニャンさんはあそこでハマっとったん?」
「え?ハマってた?」
「そうやで」
そう言いながらスマホの画面を差し出した。
そこにはない頭隠して尻隠さず。それを体現したかのように見事にさっぱりとハマっている魔王様の姿が映っていた。
『なんだこれは⁈』
「ドラ何してたの⁈」
それぞれ違った意味で驚き固まる魔王様と命。
魔王様は慎重な面持ちで言葉を発する。心なしか顔の彫が深くなっている気がする。
しかし猫の姿のせいで決まらない。あぁ、元のお姿ならば完璧だっただろうに。
『……命、何していただと?そんなことを言っている場合ではない』
「いやいや、なんだよこの状況⁈」
『この者は一瞬で絵を描いたのだぞ!』
「ぇ?写真だろ?」
『写真?なんだそれは』
「ニャンさん、写真はなー」
カメラは朱坂の言葉に振り向いた魔王様をパシャリと撮った。
「こんな感じで撮ったものを画面に映してくれるんよ。俺が描いてるわけやないよ」
『おー!見せよ!』
「ええよ」
『むふふ、面白い!新種の魔道具か?よいぞ!記録員に任命してやる』
「うーん、俺がずっとそばにいるわけじゃないしミコにやってもらった方がええんやないかな」
「え、俺?」
「なぁ?ミコ」
『むむ、仕方ない。命!第一の下僕よ!我の素晴らしさを収める栄誉をやろう!』
「はーー⁈やるって言ってないが⁈」
大きくため息をつく命。またしてもドヤ顔の魔王様。ニコリと笑う朱坂。
♢♢♢次回予告♢♢♢
こうして命は下僕の次に記録員としての名誉を得たのだった。
完。
とはいかない!
写真というものを知った魔王様は文化や技術発達の違いを知り立ち上がる。
「民の生活をを知ってこそ真の王!」
流石です!でも勝手にいなくならないでくださいね!
next:にゃ王様、板。
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