にゃ王様、川。

「暑い……」

『川はまだか?』

「もう少ししたら降りられる階段があるから」


燦々と太陽が降り注ぐ中、トテトテと土手道を歩く魔王様と命。

遠くまで続く川を挟むようにある土手道には二人以外にも散歩をしている人が点在している。

丁度犬を連れた通行人とすれ違った。

そのすれ違う瞬間、犬は魔王様からフイと目を逸らし駆け足で通り過ぎていった。明らかに避けられている。きっと魔王様のオーラ我本能的に察知したのだろう。

魔王様にはその自覚がないため気付かない。


「あっ」


その一方で命は声を漏らし肩を落としていた。犬に避けられたことに気付いたのだ。しかしながらその原因が魔王様であるとは分からなかったようだ。

なぜ犬に避けられて肩を落とすのか。

そう、命は犬派であったのだ。


『どうかしたのか?』

「何でもないよ」


命の様子には気付いたようで声をかける魔王様だが流されてしまう。

魔王様、そいつは敵です!犬派のヤローですよ!


そんな調子でしばらく歩いていると川辺に降りられる階段に辿り着いた。

その階段を見つけた二人は駆け降りた。

そして、ザブンッと水飛沫を上げて飛び込んだ。


「冷たっ」

「ニャッフー」


川の水は冷たく、熱った身体を冷やしていく。

全身が水浸しになった魔王様は川の中から頭を出した岩の上に乗ると身体を振り纏わりついた水を飛ばした。

その水は命へ飛び今度は命の全身を濡らした。


「うわっ、ちょ、ストップ!」

『ん?何じゃ?』

「…お前、、、くらえっ!」


仕返しだと魔王様に水をかける。

少年に帰ったように遊ぶ命と魔王様。

そうしてしばらく遊んだ二人だったのだが、帰ろうとした時問題が発生した。

着替えがないのである。

元は足だけを川につける予定だった命。

タオルは持ってきていても着替えはない。

取り敢えずそのタオルで自身の身体と魔王様を拭く。

しかし服は濡れたままだ。


どうするかと魔王様と話し合うがどうすることもできない。

濡れ鼠となったまま家に帰るのだが、玄関を開けた瞬間香代子さんに見つかった命は魔王様と共に風呂場に投げ込まれるのだった。



♢♢♢次回予告♢♢♢

存分に川で遊んできた二人。暖かい気候とはいえ濡れたままで大丈夫か?

ってほらやっぱり……


next:にゃ王様、風邪。

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