魔王様、魔法を使う。
ご飯を食べた後直ぐに寝てしまった魔王様はまだ太陽が出ていない時間に目を覚ました。
「ふがー、ふがー、、、はっ!」
知らない天井に一瞬惚けるがすぐに昨日のことを思い出した。
(「封印を完全に解いたはずだが猫になっていた。そしてここは
「おぉ、魔力が粗方回復しているな」
寝たことでなのか魔王様の魔力はかなり回復していた。直ぐにでも元の姿に戻りたい魔王様ではあるが、なぜ猫の姿になっているか分かっていない為下手に手を出せない。
この時間、命はまだ寝ている。今ならバレずに魔法を使えるだろう。
「先ずはこの世界を把握するか、《遠視》」
魔王様は魔法を発動させクワッと目を見開いた。
「ん?」
数度瞬きをして目を擦る。そしてもう一度。
「《遠視》!」
「、、、なぜ使えんのだっ⁈」
魔法を発動させても何も起きない。
ならばと基本と言われるような魔法を試す。
それらは使うことはできたが本来の倍以上の魔力を要した。
「ん〜む、魔法効率が途轍もなく悪いな…」
「これでは元の姿に戻ることができないではないか‼︎」
魔王様が唸っているとその声に顔を顰めながら命が目を覚ました。
そしてのそりと起き上がると魔王様を抱き上げてベットに入った。
「どうしたのー?もう少し寝ようよ……」
現在、まだ日が登り始めて間もない早朝である。命は再び寝入った。一緒にベットに入れられた魔王様はというと、命が寝たらまた魔法を試そうと考えていた。しかし布団の誘惑には逆らえない。
「だぁ、離せ!はな、せぇ、、、ぐぅー」
寝言を言いながら気持ち良さげに寝る姿に魔王の威厳などない。
魔王様リラックスし過ぎでは?この世界に来て1日も経ってないですよね⁈さすがですね!
次に魔王様が目を覚ましたのはその数時間後だった。部屋の主が身支度をしている音で目が覚めた。
欠伸をして身体を伸ばす。早くに起きていたせいかまだ寝ぼけている。
「あ、起きたの?おはよう」
命は制服に着替えていてその手には猫缶があった。
「飯か‼︎」
それを見た魔王様の意識は一瞬で覚醒した。
ベットから飛び降り尻尾を振り回す。
「はい、ご飯ここ置いとくから食べてね。俺はもう学校に行かないといけないから」
「おう!分かったから早く寄越せ!」
魔王様は置かれた猫缶を夢中になって食べ始めた。それを見て命は「行ってきます」と言い部屋を出て学校へと向かった。
それにしても魔王様、元の姿に戻るのはいいのですか⁈
猫に順応し過ぎですよ!
♢♢♢次回予告♢♢♢
こんなに馴染んでるけど出会ってたったの一日⁈
命に飼われることになったようだが決めなくてはいけないことがある。そう、名前!
命は魔王様を名付けようとするけれど魔王様の名は既にある。
魔王様の名前、どうなっちゃうの⁈
next:魔王様、名を得る。
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