魔王様、気付く。
魔王様がどうやってここから出るか頭を悩ませていると頭上から声がした。
「お前どうしたんだ?」
顔を上げるとそこにはつい先日、高校生になった青年。
魔王様は命を見て驚いた。なぜなら自身の何倍もの大きさをしていたからだ。
だが流石、魔王様。
直ぐに考えを巡らせ答えに至ったようでハッとした顔になる。
「ふむ、お前は巨人族のものか!取り敢えずここから我を出すのだ」
魔王様、そうじゃ無い、、、!
命は普通の人間です。変わっているのは魔王様の姿です!
その時、命が魔王様を抱き上げた。
「よぉーし、それでよいぞ!」
持ち上げられた先に見えたのは魔王様が知らないものだらけだった。灰色の整備された道、その上を高速で走る物体など興味をそそるものが多くあった。魔王様は勇者に復讐したらあちらに戻る前にこの世界を見て回ろうと考えた。
「もう降ろして良いぞ」
命が何か話し掛けているが見知らぬ世界に目を輝かせる魔王様にはそれが聞こえていない。
「お前、さっさと降ろさぬか!」
「うわっ、ちょ、落ちるから大人しくっ」
魔王様はそう言いながらバタバタと暴れるが命には何も伝わらない。
なぜならば猫の姿となってしまった今の魔王様の言葉は「ニャー、ニャー」と鳴いているようにしか聞こえていないからだ。
「離せェい!…ん?」
あるものを目に留めた魔王様はピタリと動きを止めた。そして、
「ウニャー!!!」
魔王様の絶叫する声が周囲に響いた。
目が飛び出てしまうのではないかというほど目を見開きフリーズした。
では何が魔王様をそうさせたのか。
魔王様の視線の先には水溜りとそこに反射した一人と一匹の猫。
言わずもがな、命と魔王様のこと。
魔王様はようやく気付いたのだ。
「我が、猫になっているだと…⁈」
魔王様はショックで固まっているがそんなこと命には伝わらない。まぁ、仮に言っていることが分かっても逆に混乱するだけではあるだろうが。
命は急に魔王様が大人しくなったことを不安に思いつつ魔王様を抱え帰路に着いた。
♢♢♢次回予告♢♢♢
ようやくお気付きになられましたか魔王様!
命の家に行くことになったようだがこれからどうするのか。
next:魔王様、猫になる。
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