魔王様、改めにゃ王様!

星宵 湊

魔王様、復活。

『勇者め、よくも我を封印してくれたな……』


祭壇に置かれた禍々しい宝玉。

それに亀裂が走った。


『だがそれも今日までのこと。いつまでも大人しく封印されていると思うなよ。』


亀裂からは赤い光が放たれそれは光量を増していく。ついにその負荷に耐えきれず宝玉は壊れた。


『封印は解けた。我が出向いて倒してくれよう!』


赤い光は魔王の姿を形取る。

光が弾け、そこ現れたのは恐ろしい姿をした“魔王”。ではなく、、、






“猫”だった。


「ふはははは!勇者よ待っておれ。その首を打ち取ってやる!!」


猫となった魔王はそれに気付くことなくゲートへと消えていった___。




20××年。トウキョウ郊外。

そこにゲートは現れた。


「むむ、繋がったな」


ゲートの繋がったのは魔王様がいた世界とは異なる世界だ。魔王様の魔力は膨大ではあるが世界を跨ぐ転移によってその殆どを使い尽くしてしまった。

魔王様は勇者の元へ直接行くつもりだったようだが外れて正解だっただろう。


「それにしてもここは何だ?」


魔王様が出たのは茶色い壁に四方を囲まれた場所だった。

「まぁ、こんな壁なんぞ我の障壁にもならん」と魔王様は壁に向かって手を突き出したが、


___ふにゃん


「、、んなっ!いくら魔力で身体強化していないとはいえ、我の力で壊れないだと……!」


魔王様の想像では手が触れた瞬間、壁はガラガラと崩れ落ちるはずだった。

しかし実際にはピクリともしていない。


「まさか、また勇者が何かしたのか⁈」


魔王様はあの憎っくき勇者がまた自身の邪魔をしているのではないかと考える。

猫になってしまったのは勇者の封印によるもののためあながち検討はずれともいえない。

が、魔王様。ここでその答えは不正解です。その前にもっとあるでしょう。

ご自分の姿を見てください!





___そう、魔王はまだ気付いていなかったのだ。自身の姿が猫になっていることに。






♢♢♢次回予告♢♢♢

魔王の復讐⁈

魔王様、気付いて!あなたの今の姿は猫ですよ⁈


next:魔王様、気付く。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る