にゃ王様、VSラスボス

「にゃふふん、にゃふふーん」


上機嫌で廊下を歩く魔王様とその後ろを怪訝そうな顔をして追う命。


「どこいくの?」

「にゃふふ〜」


そう問いかける命に魔王様はふと立ち止まった。


『命、広間はどこにゃ!』

「え、広間?……もしかして、リビングのことか?それなら一階だけど」

『ふむ。我をそこに案内するのだ!』

「あ、はい」


そう答えるがはやいかまた歩き始め階段に差し掛かった。命は魔王様を抱き上げ階段を降りる。


『ふはははは!我の下僕として良い心掛けだにゃ!』

「落としていいか」

『何か言ったか命?』

「こいつ…!」


わなわなと腕を震わせる命に魔王様は気付かない。


『行け!我を広間に連れて行くのだ!』

「もう着いたよ…」

『む、そうか。ご苦労だった。んん、、にゃー』

「え?」

『早く扉を開けるのだ』

「あ、ああ」

『むふふ、まずはこの家を支配してやるにゃぁ!!』


扉の先、リビングにいたのは父の司と母の香代子だった。

魔王様はこそりと命に聞いた。


『ここのトップは誰だ?』

「え、トップ?それは…」

『む!』


命はリビングを見渡す。それに釣られて魔王様も見渡すと一人に釘付けになっていた。

目線の先は司だった。


『あやつ!…ではないな。あやつよりもあの女の方が強そうだ』

「まぁ、そうだね。母さんの方が強いよ」

『しかしあやつもなかなかの力を持っているな』

「父さんが?」

『あの気配の消し方は只者ではないぞ』

「違うと思うけどなぁ」


魔王様の言う“力”ではなくただ影が薄いだけだと呟く。


「んー、この家のトップ?に位置付くとしたら……」


その時、ガチャリと扉が開きまたもや命は言葉を遮られた。


「ただいま」

「おかえり清香」

「おかえりー、姉さん」

「あら?猫ちゃんもお出迎え?」

『にゃー』


命に抱えられたままの魔王様にニコリと笑う。その笑は誰もが見惚れる美しいものだったが、魔王様は何か恐ろしいものを感じ取った。

清香が離れると命は小声で囁く。


「うちのラスボス」

「命?」

「なんでしょうか、お姉様」


びくりと直立する命と魔王様。

命はすぐにリスポンスをする。


「ふふ、お土産のお菓子食べる?」

「食べます」


先程と同じように美しく笑っているが確実に何かが含まれた笑いだった。

“蛇に睨まれた蛙”ならぬ“蛇に睨まれた猫”のような。

閑話休題。


その時、魔王様は思った。



      【我、勝てない】と。



♢♢♢次回予告♢♢♢

この家のラスボスには勝てないと悟った魔王様。

その予感は正しい!頑張って魔王様ー!

応援してますぅ!


さてさて、これから魔王様はこの世界を知るために動き出す。

迷子にならないで下さいよ〜⁈


next:にゃ王様、散歩。

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