元気なヒマワリ

 Day23 ヒマワリ


「あのヒマワリ、リンがうえたの」


 お盆になって実家に顔を出したら、来年小学校に入る姪が話しかけてきた。小さな庭に4本咲いてる鮮やかなヒマワリを指差して、得意気に笑う。


「へえ、ちゃんと咲いてすごいね」

「うん。5つぶうえて、ぜんぶさいたんだよ」

「ん? 4本しか咲いてないよ?」

「ひとつはホッペのとこ」


 意味がわからない俺に兄が、春に死んだハムスターの名前が『ホッペ』で、お墓が庭のすみにあると教えてくれた。


「みせてあげる。ちゃんとさいてるんだから」


 ちょっとムキになった姪に服を引っ張られて庭に出た。

 こっちこっちとブロック塀の角に連れてこられると、やけにデカい、さっきのヒマワリの3倍くらいデカい花を咲かせたヒマワリがこっちを見ていた。


「ホッペはヒマワリのたね、すきだったんだよ。だからねー、うえてあげたの」

「……へー、大きいね」

「ホッペがてつだってくれたから、おおきいってお父さんが言ってた」

「そうかもね」


 うん、まあ、手伝ったのかもしれない。色んな意味で。


 吹き抜けた風に濃い緑の葉が揺らすヒマワリを見上げ、種の味も濃いかもなんて思った。


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