二
次の二日は土曜と日曜。台風接近で、部活は休みだった。
台風一過。清々しい晴れ間の中、月曜日が始まった。
初瀬とは教室が違う。だけど、隣同士だ。行きは初瀬の教室の前を通る。いつもは、そんなに気になっていなかったが、今日はとても気になる。横目で中を見る。居なかった。
昼休み。初瀬は僕の教室に来た。
「ちょっと話そう?」愛らしい素振りを見せ、僕らはプールまで向かった。
飛び込み台の上に股がり、二人ともプールの方を向いていた。夏らしい日差しと、湿った風が心燻る。初瀬は僕の方を見た。
「仲直りさせる?」 なんだ、その事か。
「させた方が良いよね」
「山本くんと秋ちゃんが、一番険悪だと思うの」
「言い争ってた二人?」
「そう。すぐには無理だろうけど、私は秋ちゃんに促してみる」
「じゃあ、僕は山本に」
僕と初瀬は秘密裏に、こんなことを画策した。その事実が僕をさらに夢中にさせた。
部活終わり。僕と初瀬は山本と田倉(秋)を呼んだ。そして、君たちが険悪でいると、空気が重くなる。仲良くしててくれ、とあまりにも他人事なお願いを告げたが、彼らは僕に優しかった。
そのあと二人は談笑していた。本気にしていなかったんだろう。まぁ、仲良くしてくれていると言う事実があれば、それで良い。
その日の帰りも、やっぱり初瀬と一緒だった。僕は彼女の僕に対する気持ちが知りたい。でも、彼女はその事に関しては、全く言及しないみたいだ。
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