お久しぶりです、付添人さん。

 彼女から電話があったのは、早朝で僕はちょうど仕事の準備をしていた。


 トゥルルル...

 僕が洗面台で顔をバシャバシャと洗ってるとき、スマホの着信音が部屋に鳴り響いた。

 こんな時間に電話してくる奴なんていないので。

 はてなと首をかしげ、スマホの画面を見た—— そこにはユイと映し出されていた。


 彼女からの電話は、一年ぶりだった。それに僕は動揺しながら、慌てて電話に出た。


「もしもし、久しぶりだね。どうしたの?」


「助けて...付添人さん...私もう死ぬらしいです。医師に余命半年だと宣告されました。病気は少しづつ、良くなっていたのに、なんで...なんでなのぉ!私は、まだ生きたいよ...付添人さんと色んな場所に行って、色んなことをしたい!わ、私...付添人さんのせいで、生きたいと思ってしまった。付添人さんを、好きになってしまったの...」

 そう彼女は、泣きながら微かな声で話してくれた。


 そのときには、僕の答えは決まっていた。


「ユイ今すぐ向かうから、病院の場所を教えてくれ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る