ひとりぼっち。

 あれから彼女と会うことはなくなった。

 ちゃんと依頼金は、彼女の住所に宛てに投函した。彼女との関係はそれだけだ。もう、会うことはない、僕に会う資格なんてないんだ。

 彼女がいなくなってから、一週間ろくに家から出ずに、何もしないで頭を空にしていたんだ。これでもう、綺麗さっぱり忘れられると思ったのだが...


 彼女がいなくなってから八日後、僕はやっと家から出た。自殺付添人をやめて、新しい仕事を始めたんだ。慣れない仕事でミスが多かったが、職場の人達はいい人ばかりで、なんとか続けられそうだ。


 彼女ができた。同じ職場の同僚の子。顔は整っていたが、弱々しく、いつもおどおどしていて、背が低く体は細く華奢で、触れるだけでガラスのように壊れてしまいそうな子だったよ。


 僕は今までより、幸せな日々を送っているはずなのに...心に穴があるんだ。それが満たされないんだ...

 どうして僕のそばに、ユイがいないのかと、いつも考えてしまうんだ。僕は君のそばにいたいとやっぱ思ってしまうんだ。

 どうしてだろう...僕はユイのことを何も知らないのに。

 好きなんだ、彼女が、ユイが...未だにさ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る