深い傷。

「いやっ離して!!私は死ぬしかないの」


「嫌だ!!絶対に離さない!!君には生きてもらいたいんだ」そう言って、僕は彼女の腕を強く握り締めた。


「なんでよ!!あなたは自殺付添人。私を自殺させるのが仕事でしょ!!」


「じゃあ、分かった。今、ここで僕は自殺付添人をやめる。君からの依頼金も全額返す!!だから、僕を付添人としてじゃなくて、恋人として君のそばにいさせてくれ!!」と勢い余ってそんなこと言ってしまったが、後悔はない。僕は本気でユイが好きなんだ。 


「なんでよ...私が死んでも、誰も悲しまないはずなのに...なんで、あなたは...私のそばに居たいと言うの...私は無理よ。あなたには、苦しんで欲しくないから、ごめんなさい...私、あなたのそばに居られない。さようなら...」そう、彼女は子供のように、泣きじゃくって目を擦り、震えた声で言うのだ。

 そして、彼女は僕の前から去っていった。


 僕は彼女を傷つけた。それはあまりにも、深い傷で、たぶん一生治ることのない傷だった。だから、僕は彼女のそばにいる資格はない。そもそも僕みたいな、第三者が関わるべき問題ではなかったのだ。









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