第21話 ごめんなさい

花帆かほに聞かれていた。

結芽ゆめからの告白。殺される。そう思っていたけど……。


「結芽さんは、斗真とうまのことが好きなんですよね?

その、恋愛的な意味で……。(花帆)」

「え、えっと……(結芽)」

「ごめんなさい。別に聞くつもりはなくて……(花帆)」

「怒ってはないよ……でも、このことは忘れて? (結芽)」

「ごめんなさい。それは、できません……(花帆)」

「えっ? (結芽)」

「私も、斗真のことが、忘れられてなくて……(花帆)」

「は?」

「えっじょ、冗談だよね……? (結芽)」

「冗談じゃない、です。ごめんなさい。斗真のことが好き、です。(花帆)」


花帆がとぎれとぎれにしゃべっている。これは、花帆が自分を責めているときの話し方だ。敬語も普段は使ってないのに……。本気で自分が悪いと思っている。


「う、うそ……花帆ちゃんなら応援してくれるよね? ファンなんでしょ? そ、それくらい……(結芽)」

「結芽ちゃんのことは好きです。大好きです。でも、それと同じくらい斗真のことも好きなんです。だから、応援は、できません。ごめんなさい……(花帆)」

「で、でも! 私は、花帆ちゃんに譲りたくない……! 

花帆ちゃんは、私を幸せにはしてくれないの? (結芽)」

「そ、そんなことは……! (花帆)」

「結芽、その言い方は悪い。花帆も一回落ち着け。」

「ごめん。今のは言い過ぎた。花帆ちゃんごめんね。(結芽)」

「だ、大丈夫、です。私も、ごめんなさい……(花帆)」

「いったん二人は距離をおけ。このままでもなにもいいことはないから。」

「うん……(結芽)」

「はい……(花帆)」

「花帆はいったん話がある。このあと良いか?」

「は、はい! (花帆)」

「っ! ……(結芽)」

「結芽は警戒しなくてもいいから。いったん休もう。な?」

「うん……(結芽)」


それから少し、沈黙が続いた。しばらくすると杏奈あんながやってきた。


「何でこんなところにいたの! すごく心配したのよ? (杏奈)」

「ごめん(結芽)」

「すまん。寝れなかったから。」

「……そう。何もなかったならいいわ。でも、もう寝なさい。(杏奈)」

「ごめん」


杏奈は勘付いてる。何があったかは分からないだろうけど、何かあったことには気づいてる。


「花帆と少し話してもいいか?」

「なるべく早くしてね。みんなには私が言っとくわ。(杏奈)」

「ありがとう。」

「結芽ちゃん、いきましょ。(杏奈)」

「うん。ごめんね。(結芽)」


無人島に来て初めて居心地が悪くなった。

俺が今までしてきたことは、すべて間違っていたんだと、すごく後悔した。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

無人島に漂流したら他10人が元カノで⁉ 落ちこぼれのプリン @purin-ko-hi-

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ