第11話 黙っていられません!

環奈かんな⁉」

「環奈ちゃん⁉ いっいつから居たの…? (桃香ももか)」

「えっと…斗真とうまさんが桃香さんを連れて行った時かです…(環奈)」

「マジのしょっぱなからじゃねえか!」

「は、はい…(環奈)」

「それで? 環奈ちゃんはこれを口外するのかしら? (桃香)」

「いっいえ…(環奈)」

「なんでそんな強気なんだよ…」

「だってそうしないとこっちが不利になるわ…それで? 口外しないのに何で声なんかかけたのか教えてもらえるかしら? (桃香)」

「…(環奈)」

「…ハァ、これじゃお前がいじめっ子みたいだぞ?」

「別にいじめてるわけじゃないわ! (桃香)」

「その…わっ私も…斗真さんが……なんです…(環奈)」

「あら~? よく聞こえないわね~? (桃香)」

「わ! 私も! 斗真さんのことが好きなんです! (環奈)」

「はあぁぁぁぁぁぁぁぁ⁉」

「まっそんなとこでしょうね。(桃香)」

「は? え? 桃香は分かってたのか?」

「ええ。顔や状況を見ればなんとなくこんなんじゃないかとね(桃香)」

「ええ~ってかお前は何でそんな強気なんだよ。環奈に俺を奪われるかもしれないんだぞ?」

「ええ分かってるわよ。でも譲る気も負ける気もないわ! もちろん環奈ちゃんに魅力がないってわけじゃないのよ? でも私は何としても勝つわ! (桃香)」

「わ! 私だって負けないです! (環奈)」


ええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ⁉


こうして、斗真争奪戦は幕を開けた


翌日


「あららら~? 斗真? もう朝よ? (桃香)」

「うぇ⁉ 桃香⁉ お前あっちの女子寮? だろ⁉」

「ええ。でも斗真を起こしてあげに来たのよ(桃香)」

「はぁ⁉ いらんわ! 俺が手を出したと思われたらどう責任取るんじゃ!」

「あら別に出してもい・い・の・よ? なんちゃって(桃香)」

「うるせーわ! 余計な事すんな!」

「桃香さん! ひどいです! 抜け駆けです! (環奈)」

「あら抜け駆けなんかじゃないわ? 早いもん勝ちよ! (桃香)」

「くぅ~! (環奈)」

「何やってるんですか? (カスミ)」

「カスミ⁉ お前何で!」

「いえいつものランニングです(カスミ)」

「ランニング? (桃香)」

「はい。朝なんでも五キロ走ってるので…(カスミ)」

「すごっ! そんなに走れるんだ! (環奈)」

「お前が言っても説得力ねえわ…」

「それで何をしているのですか? (カスミ)」

「そっそれは…(環奈)」

「斗真をオトそうとしてるのよ、二人でね? (桃香)」

「へ⁉ (カスミ)」

「桃香さん⁉ (環奈)」

「別に敵が一人減るだけよ。だから斗真には手を出さないでね? (桃香)」

「いっイヤです! いつ宣言したのかは知ら居ないけど! 私も斗真さんのことがまだ好きなんです! だから私もその戦いに参加します! (カスミ)」

「え? (環奈)」

「へぇ。良いのね? 恨みっこなしですわよ? (桃香)」

「もちろんです! (カスミ)」

「わ、私だって! (環奈)」


ハァ⁉




おまけ


「ちなみに最初にこれ言ったのは誰なのよ? (桃香)」

「カスミだけど…」

「いつ! (環奈)」

「昨日の雨の時です。(カスミ)」

「じゃあ誤差ね。私はその後の連れてってもらった時だもの(桃香)」

「私は解散の時です! (環奈)」

「誤差じゃありません! 二時間近く違います! (カスミ)」

「たった二時間よ(桃香)」

「私も桃香さんと三十分しか変わらないです! (環奈)」

、よ? (桃香)」

「そんなこと言ったら、かわります! (カスミ)」

「たった二時間よ! そして三十分もよ! (桃香)」


「二時間もです!」「三十分だけです!」「たった二時間よ!」「三十分だけ!」

「二時間も!」「三十分だけ!」「二時間だけ! 三十分も!」「たった三十分だけです! 二時間と比べたら—!」


…なんじゃこりゃ…

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