第三章 黒衣の魔王
振り返れば黒歴史
【ステータス】
名前:ポチ
種族:吸血鬼
職業:錬金術師Lv.58
称号:■々の友達
痛みと共に生きるもの
悪辣なる悪魔
蛮族
曲芸師
ラットキラー
逃亡者
夜の加護
影に生きるもの
拳聖の弟子
武闘会優勝者
HP:100/100
MP:0/0【100】
STR:0(0)
VIT:0(0)
AGI:(0+5)×2(10)
DEX:680+100(780)
INT:0(0)
MND:0(0)
LUK:0(0)
スキル:器用上昇Lv.5
寄生された触角Lv.2
反撃Lv.5
近接戦闘Lv.5
格闘Lv.5
種族スキル:吸血
使役
物理耐性
日光弱化
聖属性弱化
光属性弱化
装備スキル:使用不可
ステータスポイント:0
【装備】
武器:なし
頭:妖狐の面
体:黒霧のローブ
足:なし
靴:なし
装飾品:ビックコックローチの脚
破魔の短剣
【眷属】
ポイズンスライム:ドクLv.55
ロウワースピリット:ロウLv.9
武闘会が終わって久しぶりに自分のステータスを確認したがこんな感じだった。
あぁ……DEX以外全部ゼロ……。
悲しいね…………。
まぁ俺が選んだ戦い方だから後悔はないけど。ないけど(大事なことだから二回言いました)。
さて、優勝賞品として手に入れた【妖狐の面】だが、見た目は完全に祭りのときに売ってるアレだった。
ほらほら、アレだよ。夏祭り、縁日で屋台で売ってるアレ。中二病を発症しているときは異常にかっこよく見え、フラフラと買ってしまう。
ぁっ(黒歴史が刺激される音)。俺は死んだ。
お面だということでかろうじて装備は出来たのだが、どうも装備スキルなるものがあるらしい。
使えないんだけど。なんか条件があるのかな? MPが滅茶苦茶必要だとか。一生無理だね。
それと優勝したので手に入れた【武闘会優勝者】。
これは完全に名前だけで、効果はない。
ちなみに【拳聖の弟子】だが、この効果は『この称号を持つものは、拳聖との間に深い信頼を結んでいるだろう』というもの。(効果)ないじゃん……。
終わってみれば大してに入れたものはなかったが、いちばん大事なものを取り戻せたからいいだろう。
なんて、主人公みたいなことを考えてみたけど。
「恥ずかしい〜〜〜〜〜〜〜〜ッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!」
草原にて身悶えする不審者が一人。私です。
始まりの街に戻ってきたのだが、ラインとの修行をする以外は基本自由だ。
そもそも以前もかなりソロプレイをしていたのだから、一人の時間がいっぱいあるのも当然。
というか修行している方が珍しい。最近は二週間に一回くらいだからね。
武闘会。
随分とかっこいいセリフをバンバン吐いていた覚えがある。
ラインを助けたかったというのもあるし、場に酔っていたというのもある。
結局冷静になって振り返ってみると、はっきり言って黒歴史と言わざるを得なかった。
「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああっ!?」
死にたい。
「はぁ…………」
草原で三角座りをし、重苦しいため息を付いているナイスガイが一人。
まぁ俺のことなんだが。
一応黒歴史のせいで心に負った傷はなんとかしたのだが。
したのだが……ちょっとね。
「このどうしようもない気持ち、如何せん」
ということでキョロキョロとしていると、遠くの方に見覚えのある青色のプルンプルンしたやつがいた。
つまりスライムだった。
草原……俺……スライム……何も起きないはずがなく。
「死に晒せやこらぁ!」
「きゅーっ!?」
とりあえず奇襲した。
それはもう綺麗な奇襲だった。
見事なフォームで走り寄り、意識外から全体重を乗せたドロップキック。
流石にステータスの関係で一発で倒すことは出来なかったようだが、それでも半分ほどは削れたか。
「はーっはっはっはっはっはっはっはっは!! こちとら武闘会優勝者やぞ! 今更スライムごときには負けんわぁ!」
「き、きゅー……」
瀕死のスライムを足元に高笑いする不審者。
何処からどう見ても俺だが、随分と気分のいいものだ。
大笑いする前に近くに他のプレイヤーがいないことは確認済みだ。傷ついた心を癒やすために黒歴史を作ってたらしょうがないもんね。
あぁ……成長って素晴らしい。
少し前までは全然敵わなかったスライムだが、こうして余裕で勝てるようになっているではないか。
もうアレだね、スライム程度だったらいくら来ても負ける気がせんわ。
ま、当然ですけどね??? だって僕武闘会優勝者ですし????(笑) ちょっとそこらへんの有象無象とはレベルが違うっていうか〜(笑笑)。もう話しにならないですよ〜〜〜〜〜〜〜(大爆笑)。
と、まあ。
そんな感じで盛大にフラグを立てていたのがいけなかったのか。
それとも死にかけのスライムを倒しきらずに放置していたのがいけなかったのか。
どちらとも悪いような気もするが、とにかく、俺の身に起こったことを話そう。
「ん?」
こちらに接近してくる小さなスライムを発見。
どうやら俺を倒そうとしているようだ。
思わず失笑。おいおいおい、君一人で勝てるとでも思っているのかね?(笑)
ふーっ。しょうがねぇなぁ、現実を見せてやりますか!
ため息を付きながら肩をすくめる。
足元のスライムを踏み砕きながら、ノシノシと向かう先は蛮勇を発揮して迫りくる哀れなスライム。
彼我との差を理解できないとは……野生の本能を失ってしまったのか。
とにかく哀れなやつよ。こうして俺と出会いさえしなければ、生き残れたかもしれないものを。
そうしてニヤニヤしながら歩いていたのだが、何となく様子がおかしい。
「………………? なんかうるさくね……?」
違和感を感じ目を凝らしてみると、なんかスライムがうごめいているような……?
いやでも、一体だけ……だろう、し……………………?
「きゅー」
「きゅー」
「きゅー」
「きゅー」
「きゅー」
「きゅー」
「きゅー」
「きゅー」
「きゅー」
「きゅー」
「きゅー」
「きゅー」
「きゅー」
「きゅー」
「きゅー」
「きゅー」
「きゅー」
「きゅー」
「きゅー」
「きゅー」
「………………………………………………」
目の前に広がるは、数え切れないほどの青い軍勢。
集合体恐怖症ならば発狂してしまいそうなスライムを見て、俺は爽やかな笑みを浮かべた。
「――争いって、虚しいとは思わないか!」
「きゅー!!!!!!!!!!!!」
俺は死んだ。
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