不審者について語るスレ民
『さようなら、不審者……』
『まぁ最後まで生き残ったらこいつに当たるよな』
『まさかクズがいるとは思っても見なかったんやろなぁ』
『知らない可能性あると思うんですけど』
『流石にこんな有名人知らんやついないやろ。いたら相当な馬鹿やぞ』
『ほら、攻略とか見ないタイプの』
『情www弱www乙wwwwwww』
『おぉ』
『挨拶代わりのナイフよく躱せたな』
『まぁ運が良ければ』
『運が良ければ勝ち抜けますか……?』
『無理』
『不可能や』
『不審者が【暴虐王】に勝てたら全裸でシベリア横断してやるわwwwwwwww』
『立った、立った! フラグが立った!』
『これは貶しに見せかけた高度な応援』
『命がかかってるんですがそれは……』
『安いもんさ、生命の一個くらい……』
『変えが効かないんだよなぁ』
『でも社畜の代わりはいくらでもいるぞ』
『悲しいなぁ』
『!?』
『ファッ!?』
『戦いが成立してるやんけ!』
『どういうことだ?』
『魔法職でろう不審者が繰り出すあの華麗な体捌き……少々付け焼き刃のような気もするが、十分張り合っている……』
『あ、あなたは!』
『古武術兄貴!?』
『知っているのか、↑』
『あぁ、聞いたことがある……』
『戦闘系のスレに現れては、的確な実況というか説明をすることから、つけられたあだ名は古武術兄貴……なお本当に古武術をやっているのかは誰も知らないという』
『不審者強くね?』
『まぁ俺にもアレくらいできるわwwwwwwwwww』
『じゃあやってみろください』
『実際【暴虐王】に張り合えるのって誰がいる?』
『勇者とか』
『姫騎士ちゃんとか?』
『ほら、あの対人戦ガチ勢のやつ』
『でもあいつモンスターと戦えないじゃん』
『わからんぞ。誰もモンスターと戦っているところを見たことがないだけで』
『そういえばあのPVPのルールは今回のイベントと同じステータス設定なのか』
『そもそもどうしてイベントがPVPなの?』
『それな。別にいっぱいモンスター倒したやつが優勝! 見たいのでも良かったはず』
『それじゃあ新規が遊べなくなるだろう』
『新規に気を使ってて楽しめるゲームが有るか』
『それをやって過疎っていくゲームたち……うっ、頭が』
『……………………』
『何だこの高度な戦いは……(困惑)』
『当たったように見えて当たってない、ちょっとだけ当たる攻撃』
『そのラー油みたいな』
『不審者がすぐに負けるとか思ってたやつ涙目wwwwww オレもソーナノ(小声)』
『いやだって滅茶苦茶弱そうな見た目じゃん』
『そうそう。センス無いよな』
『いや待て、あれは物凄いハイセンスなファッションなのでは?』
『あんな真っ黒ケッケのローブがぁ?』
『センス無いわ』
『誰でも着れる』
『↑それ言っちゃあおしまいだろ』
『※ただしイケメンに限る』
『多分あの不審者はイケメンじゃないだろうな。雰囲気が陰キャのそれ』
『いい加減お前ら不審者っていうのやめたれよ。不審者が可愛そうだ』
『↑お前wwwwwwwwwwww』
◇
駄目だ、埒が明かない。
俺は一度目の前の少女から大きく距離を取り、息を一つ入れる余裕を作った。
彼女は恐ろしいほどの技術を持っている。
それに対応できている自分もかなりの実力なのでは? と思うが、それは残念ながら違う。
やり合っていて分かったのだが、彼女の戦い方は荒削りだ。
削りすぎてもはや針のようにとんがっているが。
つまり滅茶苦茶強い。
対してこちらには師匠がいるし、何なら俺自身には才能がない。
DEXによる補助を受けて技術を習得していたのだ、天然の天才には
それに普段だったら圧倒的なDEXで動きが補正されるが、今は大会用のステータスになっているせいでそれがなくなっている。
ということはいつもどおりの動きが出来なくなっているということだ。
多少は体に染み付いたもので誤魔化しているが。
だがずっと戦っていればいずれボロが出る。
早めにケリを付けないと間違いなくこちらが負けるだろう。
「ってことは……正面から戦ってたら駄目だよなぁ」
バカ正直に戦っていた結果が先程までのものだ。
彼女のナイフに対応し、カウンターを仕掛ける。
そしてその殆どが防がれ、まともにはいったものなど一度きり。
相手の体力がどれくらいあるのか知らないが、もしも自分よりもあった場合、時間が立てば立つほど不利になる。体力的にも技術的にも勝っている相手に勝つには、短期決戦しかない。
もはや目で見る必要すらなくなった動き。
俺は爆発ポーションをアイテムボックスから取り出し、そのまま投げつけた。
「……あはっ」
なんと、彼女は手に持ったナイフで
空気に触れた瞬間中に入っていた液体が爆発。しかし蛇のように低い姿勢で地面を滑ると、勢いを利用してこちらに走り寄ってきた。
なるほど、確かに回避するよりかは時間の短縮になるし、真正面から当たるよりもダメージは低い。
それでも少しはHPが削れているようだが。
このまま遠距離から投げ続ければいけるか? という疑問には、残り少なくなった爆発ポーションのスタックが答えた。
まぁそう都合良くはいかないか。
「さっきから……一向に遠距離攻撃手段を確認できていない。それは温存しているのか、それとも存在しないのか……本気を出しているのなら、まぁ後者だろう」
であれば。
「【寄生された触角】」
「うわっ!? きもっ!」
「酷いな……同意するけども」
少女は少女らしい反応をするが、今までの動きを見て俺は彼女のことを少女だと思っていない。
せいぜいペンギンくらいのものだ。あいつらの口の中見たことある? めっちゃ怖いよ。
さて、できる限り近づけさせず、遠くから捻り潰す作戦、開始。
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