第22話 魔法監理局

 木造の建物に入ると、

 制服姿の局員が忙しそうに動いている。

 

「なんか騒がしいな」


「管理局はいつも人手不足なのよ。

 魔法使いは身勝手でしょ、

 こういう法の局員にはなりたがらないからね」

 

「管理局は何のためにあるのですか」


 ラクリマはいひかに聞いた。


「元々は魔法使いじゃない人間との調停役よ。

 ほら魔女狩りとかあったでしょ、

 人間との軋轢は迫害や差別をうむからね。

 悪人を法でしばっておかないと、

 また対立をあおることになるから」


「だから管理か」


「そう一応はね。

 ただ実際上が何を考えているかはわからないわ......

 蓬莱島も本来ならかなり警備に人員をさいてたのに、

 減らされてたり......

 おかしいと思って私は志願したんだけど......」


 そういって目を閉じる。


「だから、私は力を得てここを変えてやる!

 その為にもタイガ、あなたが必要なの!」


 そういって腕に抱きつく。


「ああー、また!」


 エクスさんがいひかを引き離す。 


「いひかさん......

 あんたとはいずれ決着をつけなければいけないようですね」

 

「......こちらも望むところよ」


 二人はにらみ会う。


「まった! まって、とりあえず、

 上の人に会うんでしょ!」


 オレは二人をなだめる。


「しかたないわ。

 このことはあとにしましょう」 


「ええ、そうですね」


「ふう、」


「モテる男は辛いねえ」


 ヒミコさんは笑顔でそういう。

 心底楽しんでる様子だ。


「ここよ。

 六番隊副長、白雲しらぐもいひか入ります!」 


 目の前にある大きな襖に声をかける。

 

「白雲入りなさい」


 そういわれてオレたちは襖を開け部屋にはいる。

 そこは畳がしかれた和室の大部屋だった。

 真正面にこちらを見据えてる女性がいる。


「あなたが、タイガさん、エクスさん、ラクリマさんですね」


 そう目をつぶった着物姿の女性が話かけてくる。


「はいそうっす」


「ええエクステントです」


「はい」


「私は魔法管理局局長。

 相卜 あいぼく みことと申します」


「どうもっす」


「脱獄者二名を捕らえていただいた懸賞金に関しては、

 神聖教会にお支払い済みです」


「ありかとうございます!」


 エクスさんはそういって頭を下げた。


「そこで......」


 相卜さんはヒミコさんをみていった。


「あなたたちの助力には感謝しています。

 ですが、タイガさん、ラクリマさんは捕縛させていただきます」


「ええーー!?」


 オレたちは急に部屋になだれ込んだ局員たちに捕まり、

 地下の座敷牢に閉じ込められた。


「なんすかこれ!?」


「ふむ、僕のことがばれてたようだね」


「いひかさんとエクスさんは、

 捕らえられなかったようですね」


 ラクリマがそういった。


「まあ、神聖教会とはことを構えたくないのかもね」 


「ど、どうするんすか!!」


「まあ、逃げるのは簡単だけど、

 身体があったからね」  


「えっ? あの和服美人っすか?」  


「うむ、この身体になって共鳴が強くなってる。

 あの相卜くんから、僕の身体の反応が出ていたんだ」


「ということは、

 オレたちから、身体を奪うつもりっすか」


「だろうね......

 ん?

 だれか来る」


 ヒミコさんがいう。


「なっ!? ぐぇ!!」


「副長なにを!?」

 

 そう人の声が聞こえ、足音が近づいてくる。


「大丈夫!」


 それは警備を倒してはいってきたらしい、

 いひかとエクスさんだった。


「ごめんタイガ......

 まさかこんなことになるなんて」


「それより早く逃げましょう」


 いひかが謝るのを止め、

 エクスさんが牢の鍵をあける。


「ダメだわ!

 魔法で鍵をかけてる」


「大丈夫だ。

 ほらね」


 ヒミコさんが簡単に牢からでて、

 オレたちの牢を開けた。


「ここは奈落ならくと呼ばれる地下の監獄。

 早く脱出しましょう」


「なんで、局員のいひかが助けてくれるんだ」


「......正直、信じられなくなっているの......

 タイガたちを捕えたことも含めて......」


 そう眉をひそめいひかがいった。


「とにかくここを出て、

 局長を探しましょう。

 聞きたいことがあるし」  


「はやく上への階段へ!」


 エクスさんが呼ぶ。

 オレたちは上へとあがっていく。

 出た部屋に着くと三ヶ所襖があった。


「これどこにいけばいい!」


「......いえ、こんな場所知らないわ。

 私たちが通った道じゃない」

  

「ええ、先程は一本道でした......

 これは」

 

「ふむ、結界魔法だね」 


 三ヶ所から三人の管理局の制服をきた男女が現れた。

 

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