夕髪のクリカ

 シンカーの群れに案内され、クリカは地上へと飛び出した。

 今まさに悠にとどめを刺そうとするディクタトールの背に、飛び蹴りを放つ。


「いい加減にしろっ!」


 振り向いたディクタトールの顔面をしっかりと捉え、全体重と速度を叩き込む。吹っ飛んだディクタトールは、そのままビルを崩しながら墜落した。


 「来てくれたんだな」


 悠が背後でそう言った。彼が信じて待っていたのだと、その言葉で確信する。目頭が熱くなり、クリカは手で涙を拭った。


「うん。本当にごめんね。私もう、迷わないって決めたのに」


 クリカは拳を固め、決意を示す。


「ここからは、私が守るから」


 こんな自分を信じて託してくれたのだ。その想いを裏切るわけにはいかないと、クリカは戦う覚悟を示す。


「ふんっ、今さらお前か。守護者よ、お前が待っていたのはこの女なのか?」


 ディクタトールは、瓦礫を吹き飛ばしながら地上に這い出した。


「そう。私だけが、アンタを倒せる」


 クリカの言葉に、ディクタトールは怪訝な視線を向ける。


「そうだな。彼女はお前にとって脅威だろう? だって、わざわざ力を真似るくらいだからな」


 悠の指摘に、ディクタトールは不機嫌な気配で沈黙した。


「この戦いで分かったよ。本気になって戦いに熱が出た途端、お前はあの能力を使わなくなった。付け焼刃なんだろう? 慣れていないから使わなくなった。

 どのタイミングからかは知らないが、お前は彼女の能力を知り、脅威に感じてそれを模倣したんだ。あの時は、自分がいつか押し切られるかもしれないと感じて、先手を打って彼女を動揺させる手に出たんだろう」


 ディクタトールは否定しなかった。人と違う作りの表情を正確に読み取れはしないが、苛立っているのは確かなようだった。


「精神的に追い詰めるしか手段が無かったんだ。お前はあの時点で、彼女には勝てないとそう言い切ったようなものだ」


「だから何だというのだ? 事実、我はその女に一度勝った。言葉だけで戦意を失うような弱い存在に、この我が敗れる事は無い!」


 戦闘態勢に入ったディクタトールに、クリカは言い放つ。


「いいや。今度は私が勝つ。もう、アンタの小細工なんか効かない!」


「借り物の力でどこまでできるか見ものだなっ!」


 ディクタトールが動いた。高速でクリカの前に迫り、その拳を打つ。クリカはそれに正面から応じた。

 二人の拳がぶつかり、力が相殺し合って空気が弾けた。


「ぐぬっ―――!」


 ディクタトールは驚愕していた。反動で剥がれた両者の拳、そのうちディクタトールの方だけがわずかに傷がついていた。

 能力は相殺できていない。クリカの破壊力の方がわずかに勝っているのだ。

 どういうことだ? ディクタトールには理解できない。先の戦いよりもはるかに大量の力を領域から取り込んでいる彼は、扱う全ての能力が向上している。

 逆の展開ならまだしも、クリカ側がディクタトールを上回るはずなどないのだ。

 何かの要因で、相手の力が向上しているとしか考えられない。

 一瞬の思考の隙。その隙にクリカはディクタトールの懐へ入った。クリカの掌底打ちが、その胴を捉える。

 さらに強く弾ける音がして、ディクタトールの身体がわずかに吹っ飛んだ。打たれた箇所がキューブ状の泡となって崩壊している。


「完全ではないが、防げない。いったい、何が起きた?」


 ディクタトールの目の前で、クリカは奇怪な変化を遂げていた。髪の一部が赤く光っている。夕焼けの様な紅蓮の赤に。

 守護者が力の源として使うエーテルを圧縮して体に纏わせる事で、発光現象が起きているのだ。

 それはディクタトールが自身のエネルギー源を圧縮して纏い、黒く染まっているのと似た現象だった。

 エネルギー源をより効率的に、そして効果的に戦闘技能へと転用するために必要な工程。それができるという事は、クリカが真の意味で力を行使する体質へと変化したという事。

 それには悠も驚いていた。


「君は、本物の守護者になったのか」


「うん。真阿連くんのおかげでね。だからもう大丈夫。借り物の力なんて、アイツに言わせない」


 クリカは確信した。自分はディクタトールに勝てると。

 守護者として真に力を得た今、クリカの扱える力はディクタトールのそれを上回っている。

 ディクタトールは体勢を立て直し、ビームを放った。


「調子に乗るなよ、小娘が!」


 両手から放たれた、四本分の熱線を束ねた極太のビーム。それをクリカは片手で受け止めた。

 指先に触れた途端に、接触面からビームは消滅していく。それは侵食するように広がり、ビームによって発生した熱すらも吸収していく様だった。以前に比べて、分解スピードも格段に上がっている。余波も含めて、クリカには一切のダメージがない。


「やはり受けきるか!」


 悔し気にディクタトールがうめいた。


「今度は、こっちの番!」


 ディクタトールが熱線を撃ち切ると、クリカは更に相手の意表を突く。

 クリカが全く同じビームを放ったのだ。発生源を空中に固定し、四か所から同時にビームを照射するクリカ。

 ディクタトールは、自身がその攻撃にさらされるなどとは微塵にも考えていなかった。相手は近接特化。その思い込みが、対応を遅らせる。


「ぐおおおっ!」


 ビームがディクタトールの身体を貫いた。熱が彼の身体を溶かし始める。すぐさま分解能力を被弾面に展開し、ビームを防いだ。

 しかしその隙に、クリカは再びディクタトールへ急接近する。


「ぐっ!」


 ディクタトールは対応がわずかに間に合わない。クリカの二連打を胴体に許し、三撃目を何とか凌いで体勢を立て直した。

 打たれた箇所が崩壊する激痛は、確かにディクタトールの身体の奥へと届いている。


「おのれぇ!」


 肉体とプライド、両方を傷つけられたディクタトールは怒りに猛る。

 クリカも同様だ。悠の惨状を見せつけられ、静かに怒り狂っていた。

 激しい格闘戦が二人の間で繰り広げられる。打たれれば防ぎ、打ち返されれば躱す。

 ディクタトールがわずかに圧されていた。

 二人の反応力は、元よりクリカの方がわずかに勝っているのだ。それは図らずも悠が能力と共に貸し与えた知識の中に含まれていた、悠自身の格闘技術。コピーの様にクリカにもそれが備わった。

 そして彼女自身が自ら獲得した、分解の力。

 二つの力がディクタトールの身体を削り、じわじわと追い詰めていく。

 ディクタトールは辛々、クリカの身体を掴むことに成功した。


「ふんっ!」


 ディクタトールはそのまま彼女を持ち上げて、上空へとぶん投げる。


「うわぁっ!」


 周囲のビルを抜いて、クリカはかなりの高度へと打ち上げられた。


「ぶっ潰れろぉ!」


 ディクタトールが叫び、腕を交差させる。それに呼応するように、クリカの左右からビルが飛んできた。

 近隣から引っこ抜いてきたのだろう。十階相当のビルディング二つが念力で宙を舞う。


「そんなのあり!?」


 驚愕するクリカを圧殺しようと、ビルが迫る。

 空中で、二つのビルが激突し、爆ぜた。


「こんなものでぇえええええっ!」


 私を殺せると思うなよ。叫んで、クリカは爆発の中心で能力を最大解放した。

 悠のいる地点に瓦礫を落とすまいと、粉塵に至るまでその全てを消滅させる。


「なんだとぉっ!」


 自らの目論見が完全に外れ、ディクタトールは驚愕する。

 空中から、クリカが落下してくる。ディクタトールは急いでビームを放ち、クリカを迎撃した。

 ディクタトールは消耗戦になると判断し、距離をとってビームによる射撃に専念しはじめる。

 クリカはすぐさま対応し、迫るビームを受け止める。手に余る数は素早く回避し、被弾する様子はない。

 そしてやはり、クリカはディクタトールへ向けて反撃のビームを放った。


「この力! 分解したものを再構築しているのか!」


 クリカの能力を理解し、ディクタトールは驚愕する。それはディクタトールには到底再現しようのない技術だからだ。

 物を破壊する事は容易いが、瓦礫を再利用して同じ物を再構築する事は難しい。

 クリカの能力はそれを行っている。そのせいか、分解した量よりもわずかにビームの出力が劣っていた。

 しかし熱の塊を放出するこの攻撃は、当たればその時点で効果を発揮するもの。そもそも大きさよりも重視されるべきは射程だ。

 クリカはそれ自体はクリアしており、ディクタトールをさらに追い詰めているのはその数であろう。

 数えきれない量のビームが、ディクタトールへ向かって飛んでくる。

 ディクタトールは最大四門までしかビームを放てない。それが彼の限界であり、溜めの時間を必要とすることから、連続発射するには一門ずつ放つしかない。

 しかしクリカは受け止めた分のエネルギーをそのまま返すだけなので、ディクタトールが撃てば撃つほど反撃の手数が増える。

 しかもクリカの攻撃は四門に限らない。ディクタトールには再現できないほどに絞って粒子を放出している。その結果、極細のビームが一度に十何本も飛んでくる事態が起こっているのだ。

 これでは全く意味がない。ディクタトールは消耗を続け、クリカにはそれがない。

 形勢は完全に逆転していた。現在進行形で追い詰められているのは、悠の言った通りディクタトールの方である。

 すべての要素において、ディクタトールは負けている。その事実を、ディクタトールは認めるわけにはいかない。


「くそがぁっ!」


 ディクタトールの放ったビームを回避し、クリカが再び間合いに入る。

 クリカの攻撃を警戒して飛び退いた瞬間、ディクタトールの背後からカロンが噛みついた。その顎門あぎとは外殻ごと肩を砕く。


「このっ! 邪魔なんだよ!」


 うかつにもカロンへ意識が向いた一瞬に、クリカが攻撃を放った。


「しまっ―――」


 ディクタトールの腕を、クリカは手刀で切り落とす。


「ぐぁああああっ!」


 クリカは空中で回転するように体勢を変え、激痛によって無防備となったディクタトールを蹴り上げた。

 持ち上がった体に、さらに強力な蹴りの一撃を見舞う。ディクタトールが吹っ飛んだ。


「ナイス、アシスト!」


 クリカは着水したカロンに礼を告げる。

 一方的な戦いに持ち込めてはいるが、クリカには焦りがあった。

 ディクタトールへの決定打が叩き込めない。そもそも、決定打とは何なのか。

 今クリカの目の前で、瓦礫の中から現れたディクタトールが、体の破損部位を修復した。切り落とした腕も元に戻っている。


「ちっ、しぶとい奴」


 決着が見えない戦いに、クリカは苦々しく呟く。

 見ている悠も、その解決策を必死に探していた。

 ディクタトールはまさに不死身。この領域の中にいる限り、ディクタトールは自分の身体がどれだけ破壊されても元に戻せるのだろう。

 だが、領域を破壊するにはディクタトールを倒さなければならない。

 彼の最大の切り札はそれだ。敗北の条件がディクタトール側には死しかない。そのただ一点を守り続けるだけで、ディクタトールに敗北は無いのだ。

 だが、ディクタトール側も撤退できない以上、両者の戦いは拮抗状態に入っている。

 天変の楔を晒してしまった以上、それをクリカたちの手から守り通さなければならなくなった。そしてなおかつ、領域が完全に消滅してしまう前に事をなさねばならない。その二つの条件をどちらも守れなければ、ディクタトールの計画は破綻する。

 両者は睨み合い、そして再び激突した。打開策を見出すために、クリカもディクタトールも相手の隙を伺いながら戦っている。


「あいつの不死を否定する方法……領域を壊す方法は何か無いのか?」


 考える。悠に今できるのはそれだけだ。

 領域を破壊するにはディクタトールを倒すしかない。

 彼方によれば、この領域は入る事は出来ても出る事はできないという。

 そもそも領域の果てがどの地点なのか悠には分からない。ディクタトールを今からそこへ誘導するのはあまりに現実的じゃなかった。

 ただ一つの方法を除いては。

 悠の中にある一つの答えが浮かんだ。

 悠が呼ぶ前に、目の前にカロンが現れる。もはや念じるだけで、カロンには悠の考えが分かる様だった。


「カロン、俺を連れて行ってくれ!」


 悠はカロンに掴まり、深界へ潜航する。


「クリカさんっ!」


 一進一退の格闘戦を繰り広げる二人に、悠の叫びが届いた。

 クリカが一瞬視線を移すと、さっきまでいた場所に悠がいない。それだけで、クリカには十分だった。

 ディクタトールもそれに気づいて嘲笑う。


「フンッ、今さら奴に何ができる!」


 侮るディクタトールを、クリカが蹴りつける。

 衝撃で後退したディクタトールの背後から、カロンが飛び出した。


「またこんなものをっ!」


 お見通しだとばかりに、ディクタトールはカロンを薙ぎ払う。

 一瞬背を向けたディクタトールに、再びクリカが迫った。

 掌底打ちの構えをとるクリカ。迎え撃とうとするディクタトール。

 次の瞬間、カロンの開けた穴からわずかに遅れて悠が飛び出した。

 悠はディクタトールの首に手をまわし、背中にぶら下がる。

 クリカに集中しきっていたディクタトールは、その接近を許してしまった。


「くそっ! 小癪な真似を!」


 ディクタトールはクリカの為に悠が妨害しているのだと判断し、そのまま気にせずクリカの攻撃に備えた。

 しかし、悠の目論見は違う。

 突如、ディクタトールの身体が後ろへと引っ張られた。

 悠にそんな力はないと考えていたディクタトールは、備えもなしに後ろへと倒される。


「なにっ!」


 悠の足にカロンが噛みつき、二人の身体を引っ張っているのだ。

 ディクタトールは即座に踏ん張ろうとするが、その足裏に蔦が潜り込んで妨害する。ずるりと足が滑った。


「させません。貴方の負けです!」


 いつのまにか瓦礫の中から這い出したアムリが、二人の様子を見ていた。悠が何をしようとしているのかに気づいて、最後の力でささやかな手助けをする。


「こんなもので、我が殺せるかぁ!」


 ディクタトールはこの時点でもまだ、クリカの攻撃を防御する事に意識を向けていた。

 クリカの拳が、ディクタトールに迫る。

 しかしそれよりも僅かに先に、ディクタトールの身体は水中へと投げ出された。


「っ! なんだとぉ!」


 一瞬で、ディクタトールの視界がコバルトブルーの光一色となる。目の前から全てのものが消え去った。瓦礫も、街も、クリカも。


「なんだ? 何が起こっているんだ? ここは、いったい何なのだ!」


 ディクタトールは分からず狼狽える。この場所が一体何なのか、彼は知らない。


「ここは、僕らの領域さ」


 ディクタトールは振り返った。すでに悠はカロンに連れられて離れた地点にいる。


「お前たちの領域だと? ―――はっ!」


 ディクタトールは驚愕した。ため込んでいた力が霧散し始めたのだ。

 彼を覆っていた力の源は無くなり、黒いメッキが剥げていく。その下に隠された純白の身体があらわとなった。


「な、何だ? 何が起きている!」


 霧散するエネルギー源を掴もうとあがくが、ことごとくディクタトールの指をすり抜けていく。

 完全に無防備となったディクタトールに、悠は事実を突きつける。


「ここはお前の領域の外。表層世界から隔離された世界の裏側だ」


 悠の言葉で、ようやくディクタトールは状況を理解した。


「エーテル海だと! バカな。世界情報にアクセスできるのは原初存在だけだ!」


「ああ。だが、来る事はできる。別にこの場所をどうこうする必要はないだろ? ここに来た時点で、お前の負けなんだから」


 悠の指摘に、ディクタトールは青ざめる。

 ここにはディクタトールが力へと変換できるエネルギーが存在しない。彼は文字通り、何もできないのだ。


「さあ、続きをしようか」


「はっ!?」


 背後からの声に、ディクタトールは震え上がる。

 クリカがそこに浮かんでいた。

 彼女はディクタトールとは真逆の環境にいる。この場所は力となるエーテルで満ち溢れている。地上と同様、もしくはそれ以上に守護者にとっては有利に働く環境だ。


「もう、アンタは逃げられない!」


「チッ、もう勝ったつもりか! 母親にすら捨てられた出来損ないの娘が!」


 クリカが掌底打ちを、ディクタトールが拳を放つ。

 ぶつかり合った二つの拳に変化はない。クリカが能力を使わなかったからだ。

 彼女は自分の言葉で、簡単に揺らぐのだとディクタトールは信じている。

 しかし、クリカにはすでに迷いなどない。それ以上に彼女を突き動かすのは、悠を傷つけた相手への怒り。そして自分を信じるという覚悟だ。

 ニタリと笑ったディクタトールの顔面に、クリカのかかとが落ちた。

 衝撃を受け止める地面は、ここには存在しない。受けた分の衝撃は、そのままディクタトールを吹っ飛ばす。


「うおおおおおおおおおっ! か、体が言う事をきかん!」


 止まる事ができない。水中の様な浮力を帯びるこの空間では、ディクタトールに自然な動きはできないのだ。

 しかしクリカはソードフィッシュが如く、この空間を高速で自在に移動する。

 ただ飛ばされ続けるディクタトールを先回りし、その背中に蹴りを叩き込んだ。


「ぐはぁっ!」


 体をくの字に折り曲げて、ディクタトールが逆方向へ吹っ飛ぶ。

 今度はディクタトールも踏ん張り、体勢をひるがえした。


「このぉっ! 小娘風情がぁっ!」


 迫るクリカを、ディクタトールは迎え撃つ。

 彼の放った拳に、クリカも拳で対応した。

 ぶつかり合った瞬間、ディクタトールの右腕が一瞬で泡になった。

 根元から完全に腕を失い、ディクタトールが絶叫する。


「ぐぅああああああああっ! 我の腕がっ!」


「ぶっとべぇ!」


 クリカは体を回転させ、両足でディクタトールの胴体に蹴りを叩き込む。

 もはや制御は効かない。重力に引かれて墜落する星の様に、高速で吹っ飛んでいく。


「おらぁああああああっ!」


 それを追撃し、クリカは連続で打撃を叩き込む。ディクタトールには反撃する余裕もない。ただ無防備に、サンドバッグの如くその体を明け渡す。


「がぁあああああああっ!」


 打たれた箇所から体は徐々に徐々に分解され、ディクタトールは少しずつ朽ちていく。

 体を削がれるような痛みの中で、ディクタトールはうめいた。


「こ、この我が! 宇宙を統べたこの私が! こんな原始生物に!」


「アンタのせいで多くの人が傷ついたんだ。あの世で詫びろ!」


 嘆く様なクリカの声が、深界に響き渡った。

 その声に呼応するかのように、ディクタトールの身体はバラバラに砕ける。


「認められるかぁあああああああああっ!」


「消えろおおおっ!」


 クリカがディクタトールの顔面に拳を叩き込む。

 砕け散った体が蒸発するようにして、一斉に泡となった。

 断末魔の雄たけびだけがわずかに残り、それもすぐに泡と共に消え去った。

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