森の外

 そういうわけで任務を受けてアメシスト王国の最も東に位置する港町フロンティアへ向かうために旅立つことになったフェルドたちは現在オオバロスというアメシストで一番広大な森の中にいる。その先にフロンティアが存在している。


本来ならば森を迂回して向かうほうがより安全に進めるルートなのだが、フェルドが早くフロンティアへ向かい魚介類を食べたいというものだから最短ではあるものの舗装がまったくされていないうっそうとした森の中を突き進むことになったのだ。


森の中は鬱蒼としているだけでなく、多くの動物たちが生息している。その中には危険な妖魔も多く存在しており、時として森へ侵入してきた人間を襲うこともあるのだ。それゆえに付近の者達も滅多なことでは森に近づかない。


そんな危険を伴う森へ入ってから2日間。噂通り何度となく妖魔に出くわしている。それをなんとか撃退して進んできたのだが、持ってきた食料がすでに尽きてしまった。さてどうしたものかと思案してみるもただ街に出る以外に方法はない。また妖魔が襲ってくるともかぎらない。街での任務のこともあり、あまり能力を浪費するわけにはいかない。


 とにかく急ごう。


 食を求めるフェルドのみならず、エドルフの足も次第に速くなっていく。


やがて太陽の光さえも遮ってきた森の向こうから光が見えてくる。


「出口だ! 飯!飯いいいい!」


フェルドは全速力で走る。エドルフも慌てて追いかける。


やがて森が開けて聞き、太陽の光に一瞬目が眩む。


視界が慣れてくると草原が広がっているのが見えてくる。その先に建物が並び、さらに向こう側には青い海が見えた。




「おっ! あそこがフロンティアかあ!」


「そのようですね」


「よしっ! 行こうぜ! エド! 腹へって死にそうだ!」


 フェルドは、腹を一度さすると、すぐに草原を掛け出した。


「あっ! フェルド!」


「エドルフ! のろのろしていると遅れるぞ!」


 フェルドは、 上機嫌な顔をしな

 がら、かけていく。


「まってくださいよ!」


 エドルフも慌てて、フェルドの後を追いかけた。




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