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Z「時間があれば調べるんですが」
A「こっちでやっておきます。そっちはお原稿をお願いします」
Z「ちょっと心配なのは、鮎川賞に本格ミステリとはいいがたい作品が少なからず応募されているのではないか、ということなんです」
A「カテゴリーエラーで審査対象から外される作品があるっていうのは、性格の悪い応募者にとっては歓迎すべき事態なのでは?」
Z「またそういうことを」
A「清張賞の〆切も十月すよね?」
Z「そうか、横溝賞から清張賞にスライドさせる手があったか」
A「横溝賞に縁深いKADOKAWAさんのカクヨムさんで、横溝賞を蹴って清張賞にとか、物騒というか失礼な話がよくできますね。あ、ニュアンスをくみとってくださいね」
Z「蹴るって……」
A「KADOKAWAって字面で思ったんですけど、五輪汚職の件って応募数に影響あるんですかね」
Z「いや、ないんじゃないですか。KADOKAWAさんに限らず、オリンピック関連の利権がらみのことを追及することは大事ですけど、出版社に関わる作家や作品は無関係でしょう」
A「俺の傑作を不正を働いた会社に預けるわけにはいかーん、という応募者いないんですかね。いっぱいいたらチャンスじゃないですか」
Z「あのですね、単純に応募数が多いから激戦、少ないからチャンスというわけでもないと思うんですよ。宝くじじゃないんで。結局は自分以外で一番面白いと評価された作品と殴り合って立っていられるかどうかですから」
A「運の要素はないと?」
Z「いや、あるでしょうけど、それは一定以上のレベルのものでないと。買わないと宝くじ当たらないのと同じで、最終に残らないと運もなにもないですって」
A「我々の裏目標が最終に残ること、ですからね」
Z「今作では無理でしょうねぇ」
A「一次通過は当たり前レベルになってから最終どうこうを語りましょう」
Z「ご本人たちは嬉しいのかどうかわかりませんが、何度も通過リストに名前があるからペンネームを覚えている人たちっていますよね」
A「○○○○さんとか、××××さんとかね。我々も早くそうなりましょうね」
Z「あぁいうのを見て、昔は“同じ人がそんなに良質な作品を毎回毎回書けるものか。名前で選んでいるんじゃないか”とひねくれてましたけど、今になると思いますね、毎回書けるから残っているんだ、名前ではなく作品で選んでいるのだ、と」
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