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Z「書き慣れていないな、原稿用紙の使い方的なルールもおさえられていないな、という作品から、テーマ・内容が個人的にはちょっと……というものまでいろいろあるにはありますね、はい」

A「横溝賞のタグ付いている作品はどうなんすか」

Z「だから読んでいないんですって」

A「読んで燃料にしましょうよ。こんな下手くそなのに負けてたまるか、とか、こんなうまいやつに勝たないといけないんだからもっと頑張ろうとか、いろいろあるでしょ」

Z「イメージですけど、原稿用紙の使い方レベルで知らない人は横溝賞の応募者だとさすがにほとんどいないのではなかろうか、と」

A「ほとんど、ね」

Z「横溝正史が好き、ミステリが好き、ホラーが好き。フックはいろいろですけど、本を読む人が自分でも書いて応募してみよう、というわけでしょう。ある程度、読書していればなんとなく基本ルールみたいなものは身についているかと」

A「でも横溝正史なんて会話文のカギカッコ「」を一字下げてますからね。昨今のルールだと会話のカギカッコは字下げしないで行頭というのがスタンダードでしょう。もし、誰かが横溝正史の未発表原稿を持っていて、こっそり横溝賞に応募したとしますね」

Z「はいはい」

A「一次選考のスタッフはどう思うんすかね。会話文のカギカッコが行頭にない。一字下げている。原稿用紙の使い方も知らんのか、けしからん。はい、ボツってなりませんかね」

Z「さすがにそれだけでまったく読まないってわけではないでしょうが……“文体含めて横溝正史の世界を完璧に再現しているがそれだけ。古臭いし、新人賞としては推せない”と一次ではねられそうな気も」

A「カクヨムって本文を読まなくても内容紹介の部分がありますよね。あれだけでもチェックして、他の応募作と設定がかぶっているかどうか確かめませんか」

Z「かぶっていないと思いますけどねぇ、さすがにアレは」

A「……と、自作の独創性に自信を持っているのは創り手だけというのはよくある話だと聞いておりますが」

Z「珍しく謙虚ですね。気味が悪い。で、もしかぶっていたらどうするんですか」

A「別のプロットあるんで書いてください」

Z「あと何日だと思っているんですか。絶対に読みませんよ」

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