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Z「進まないのはホラーの正体がわからないからなんですけどね」

A「もう初稿ができていい頃ですが」

Z「ここをどう書けばいいのか、とか、複数アイデアがあるけれど決めかねているから先が書けないとか、いろいろ事情があるんですよ、こっちにも」

A「とりあえず、一個に決めて先を書かないと。いつまでたっても仕上がりませんよ。捨てることですよ。プロットだって、いくつも切り捨ててつくっているんですから」

Z「書いたやつをボツにするのはなぁ、なんですが」

A「そうやって量を書いて捨ててを繰り返しながら、技術を上げて、面白さを嗅ぎつける感覚を養うしかないのでは?」

Z「一発で仕上げるのは諦めて、ボツを出せと?」

A「極論そうです。そうしているうちに一発で仕上げられるようになるんじゃないですか」

Z「昔は書き出したら終わりまで止まらずに書けたんですけど。これは加齢による衰えなんですかね」

A「いや、成長でしょう。“あれ、これ面白くないんじゃないか”とか“待て、こっちのほうがいいんじゃないか”とかが浮かぶってことでしょう?」

Z「まさに言おうとしていたことにも通じるので言いますけど、たくさん可能性があるほうがしんどいんですよ」

A「まぁいいでしょう。で、怖さの源泉がなんでしたっけ」

Z「想像力はVFXに勝てるかもしれないって話でしたよね。それって、どんなお化けをCGで見せるよりも、活字で想像させたほうが怖いものができるかもしれないってことになりますよね」

A「言ってしまえば、CGというのは、小説でさまざまな読者がそれぞれの一番怖いイメージをつくったものを壊して、たった一つに限定してしまうこと、想像を狭めてしまうことですからね」

Z「ですよね。活字が勝てるとしたら、そこでしょう。ホラーって活字と相性がいいのかもしれません」

A「やる気になったとこに水差すようであれすけどね、でもそれって小説を先に読んだ後で映画を観たときに“がっかり”が生まれるだけですから。映画しか観てない人にはギャップが生じないですからね。もっといえば、活字から想起したイメージよりも優れた作り手の特定したCGのほうがより怖いことだって普通ですからね」

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