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A「今までの人生で出会ってきたミステリみたいな作品を書きたいなら書けばいいですけど、それを商品にしてもらいたいなら、もっと新しいことに目を向けないと」
Z「そうなんですよね。新人賞って夢の話みたいな文脈で語られがちですけど、あれって新商品発掘プロジェクトなんですよね。現実的なビジネスの話なんですよね」
A「出版事業の場合、利潤の追求以外に文化の維持・発展・伝承の部分もありますけど」
A「“書きたい話を書きました。だから読んで下さい”それだけならカクヨムみたいに小説投稿サイトで充分じゃないですか。それじゃ嫌なんだ、商業出版したいんだっていうならば、もっと考えないと」
Z「そのための作戦会議企画なんですけどね」
A「コンテンツって言葉はあまり好きじゃないというか、芯をくっていないときにも使われるケースが多くて用心しているんですけど、新しいコンテンツに興味を持ったほうがいいですよ。楽しめなくても、どんな工夫がされているかは探ったほうがいい。楽しめたのならば、なんで楽しめたのか、施されている工夫を説明できるようにできたほうがいい」
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Z「先日の話に戻りますけど、怪奇現象としか思えないものが合理的に解決してもなお不可解な恐怖が残るというお話って、ホラーしか読まないよって人には面白いんですかね」
A「現在の横溝賞の対象範囲がミステリとホラーであることを利用して、ミステリなのかホラーなのか最終段階まではわからない内容にしてひきつけようともくろんだとしても、着地の手前でミステリ的な解決があった場合、“ホラーだと思っていたらミステリじゃん、なんだよ、つまんねーの”ってならないか心配しているんですか。まぁそういう人もいるでしょうね」
Z「ホラーしか読まないよって人にも、ミステリしか読まないよって人にも楽しんでもらえるものに仕上げたいですよね」
A「一応、双方に目配りしたお話を練ったつもりですが」
Z「バランスに気をつけます」
A「あまり気にしないほうがいいのでは。ホラーに触れてきていない人のいびつな感覚に新奇さの源泉を求めているわけなんで」
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