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Z「意義というとあれですね。ホラーの国の人にも、ミステリの国の人にも読んでもらえるんですよ」

A「そうですか、帯に“横溝賞史上最恐ホラー”って書かれたらミステリファンは手を伸ばさない気が。反対に“令和に新しい本格ミステリの書き手が現れた”みたいな推薦コメントがあったらホラー好きには引っかからないでしょう」

Z「去年も触れましたけど、どっちともとれる作品にすればいいんです」

A「ミステリとホラーの融合ってやつですか。確かに去年も言ったような。でも、難しいけれど、傑作が結構世に出ている気がします。作品名挙げないですけど、いくつかは思い浮かんでますよね。それ越えるか新しいアプローチしないと獲れないですよ」

Z「ホラーの経験値というか素養がないので、どうしてもミステリ側からしか語れないんですけど、怪奇現象としか思えないものが合理的に解決できました。それでも、不可解な部分が残りますというものが融合と言われているように思うんです」

A「ですね。だから、同じことやっても新しくはないですよ」

Z「やっぱり新人賞って新しいことやらないとダメなんでしょうねぇ」

A「だから、ほとんど触れてこなかったホラーでならば、触ってこなかった人ならではのなにか新しいもの、変なものが書けるんじゃないかって、余白のあるプロットで焚きつけているんですよ」

Z「細かいことを思いつかなかっただけでは?」

A「とんでもとんでも。なんでも解決しようとしないことですよ。そういう物語が好きなのはわかりますけど。自分の好きな話で賞を獲りたいってのはわかりますけど、それで獲れるかどうかは考えないと」

Z「獲れないと?」

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