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Z「現代語訳です。夫の帰りを待ち続けた女のやつと磯良のやつ。浅茅が宿と吉備の釜でしたっけ」

A「題名なんて知らんです」

Z「幽霊ってなんで女の人ばっかりなんですかね。幽霊になりたいですか」

A「たぶん、お話をつくったのが男の人ばかりで、男が女をなめているからだと思いますけど」

Z「なめてる? 馬鹿にしているってことですか?」

A「現世のルールを越えたところでないと男たちと勝負できないだろって、なめてるんですって。同じ土俵に立てていない。というか立たせない」

Z「それは面白いかも」

A「理解できないことはなかったことにしようってね」

Z「やっぱりお化け出さないとホラーにならないんですかね」

A「そんなことはないです。お化けいればホラーになると思ったら大間違いですよ」

Z「ポーのなんちゃらの樽は? あれはホラーですか」

A「あぁ。ポウを読み直せばいいじゃないですか」

Z「“黒猫”はホラーだと思うんですけど、“ウィリアム・ウィルソン”となんとか樽は?」

A「その樽なんですか、クロフツじゃないですよね」

Z「そっちの樽違います。ホラーわからんです。どうにも不可解を合理的に解釈できるアイデアばかり考えてしまって」

A「じゃあ解釈不可能な方向に広げていけばいいんですよ」

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