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A「参考になります?」
Z「うーん、結果として受賞ならずの最終候補作について書いてあることもあるのですが、それって読めないことのほうが多いからなぁ。読んでいないとなかなかわからないところもあるので。たとえば、“実際の警察についてもっと調べたほうがいい”みたいなアドバイスがあっても、作品を読んでいないと具体的にどういう部分をさしているのかがわわらないわけで」
A「それでも警察の組織や捜査方法について、きちんと調べないで書くのはアウトですよ、くらいのことは伝わりますよね」
Z「えぇ、それくらいは。でも、“複雑な事情を抱えた親子の関係がよく描けている”みたいなのは、実際に読まないと“ふぅん、そういうところが評価された作品なのか”でしょう。“よし、複雑な事情を抱えた親子の関係を描くから、そこは丁寧に描こう”とはならないでしょ」
A「雑に描こうという人はまずいないですからね。丁寧に描くとはどういうことなのか、なるほど、こうやって描くと伝わるのか、を実感するためには確かに原稿にあたらないと難しいですねぇ」
Z「リニューアルした横溝賞は最終候補も公開なんでしたっけ」
A「応募要項をきちんと読んで把握しておくのは、公募の基本のキでは?」
Z「ごめんなさい、最終候補に残るなんてちょっと想像できなくて」
A「悲しいことを、というか、夢のないことを」
Z「実力のわかっていなかった昔は“これは最終候補に残る傑作だぞ、選考委員をやっている憧れの○○先生に作品を読んでもらえるぞ”くらいは思っていたんですけどねぇ」
A「でも、受賞レベルに達していないと自覚していながら応募するのは失礼では?」
Z「うーん、プロならば評価するのは他人とも思うので、出してしまったら評価するのは自分ではないので」
A「あれ、プロのかたでしたっけ?」
Z「新人賞を獲ったら、プロでしょう」
A「お金もらっているんだから、どんなひどい作品でも一次選考で割り当てられたなら読めよコノ野郎とか思ってません?」
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