Chapter.2 学食編
(喧騒に包まれた学食)
……ん、キミはもしかしなくても、後輩くんじゃん! 一週間ぶりくらい? ひっさびさだね、元気してた?
え、一週間は別にそんなに久しぶりじゃないって? うるさいなあ、ボクが体感で久々だと思ったらそれは久々なの! 世界はボクを中心に回っているんだから。まあそれは流石に冗談だけど。
というかもしかして、一人で学食でご飯食べてるの? えー、寂しい奴ー! ……ああ、普段ご飯一緒に食べてる友達が休みなのね。
え、いや、ボクも一人だけど。友達? いや別に普段から一人だけど。……な、何だよその同情するような目は!
言っとくけどボクだって友達の一人や二人いるからね! ただ誰かと約束してご飯を食べるってのが苦手ってだけで! むう、さては信じてないな?
まあ一人ぼっちの後輩くんが可哀想だから、超絶優しい雪歌先輩がお昼ご飯をご一緒してあげるとしますか。よいしょっと……
(椅子を引いて、座る音)
ところで後輩くんは何食べてんの? ああ、うどんね。美味しいよね、うどん。あの白さ、柔らかな旨味、天使と呼んでも差し支えないよね……いいなあ、うどん。いいなあー。いいなあー。いいなあー。
あ、別に欲しがってる訳じゃないよ? まあ後輩くんがボクにどうしてもうどんを食べてほしいって言うなら、まあ貰ってあげないこともないけど? ……ちょ、ちょっと、何でボクの話をスルーしてずるずるうどんを啜るのさ!
え、くれるの? ほんと? ほんとにほんと? やったああああ、じゃなくて、しょうがないなあキミがそこまで言うなら貰ってあげるよ。ボクのお箸でいい? わーい、いただきますー!
(うどんを啜る音)
うーん、めっちゃ美味しいっ! えへへ、ごちそうさまでした。これで午後の授業も乗り切れるよ。
お返しにボクのカレーライスをちょっとあげるよ、後輩くん。スプーンですくって、っと……はい、あーん!
ん、どうしたの額に手を添えて? ……あ、わかった、さては照れてるんでしょ? 可愛いとこあるじゃん、ほら、早くしないとボクが食べちゃうよ? ほらほら、いいのかなー?
……っ! え、いきなり食べるとは思わなかったからびっくりした……というか後輩くん、近くで見ると結構かっこよ……ああいや、何でもない! ほんとに何でもないから! ボクが何でもないって言ったら何でもないんです!
むう、キミといるとボクのペースが乱されるよ。こんなときはご飯を食べるに限るね。熱そうだなあ、ふう、ふう……もぐもぐ……うーん、カレーライス美味し……ってこれ、間接キスになってない!? か、勘違いしないでよ、ボク別にキミとそういうことしたかった訳じゃないからね!
はあ、落ち着こ。そうだ、そういえば後輩くんは部活結局どうしたの? ……おお、写真部にしたんだ! ボクの勧誘が上手くいったって訳だね、みんなに褒められちゃうかもな。
ちなみに撮ってきた写真を見せ合う会、報告会って言うんだけど、再来週の水曜日の放課後にやるはずだよ。まあまた公式発表あると思うけど。だから何か撮ってくるといいんじゃないかな。
……ん、自分のカメラ持ってない? あはは、別に大丈夫だよ! そもそもキミってSNSから写真に興味持ったんでしょ、それじゃあスマホは持ってる?
うんうん、持ってるんだね、それなら最初はスマホで撮った写真でもいいんじゃない? 最近のスマホかなり画質いいから、侮れないんだよね。
それか親がコンデジ……コンパクトデジタルカメラ持ってたら、それを借りてもいいと思うし。
今後写真部の活動をやってく上で、自分だけのカメラを持ちたい! ってなったら、一眼レフとか買ってみてもいいんじゃないかな? 結構値段するけどね。
あはは、別にお礼なんていいよ! 同じ部活の先輩なんだから、これくらい教えてあげるよ。何たって雪歌先輩は超絶面倒見がいいですから。
え、今度一緒に出かけませんか、って? もしかしてそれってデートのお誘い? やだなあ後輩くん、めちゃめちゃ積極的じゃん!
……ああ、報告会用の写真を撮りたいから、色々教えてほしいんだね。何だよ、ちょっとドキドキしちゃったじゃん……べーつに、何でもない! キミには聞かれても教えてあげない!
まあ休日とかは暇だし、全然付き合うよ。あ、何か奢ってくれてもいいよ? ボク行ってみたいレストランとかカフェとか沢山あるんだよね。ふふ、まあこれは気が向いたらでいいけど。
ふう、ごちそうさまでした! カレーライスめちゃめちゃ美味しかったー、ほんと人類の叡智だよね、カレーライス。
というか後輩くん、まだ食べ終わってないの? ゆっくりだね。……え、室町先輩が食べるの早いんです、だって? そ、そんなことないし! むう、何笑ってるんだよ、腹立つな……
え、というかもうこんな時間か。なんか、キミと喋ってると時間が過ぎるのがあっという間だな。ふふ、不思議だね。ま、ゆっくり食べなよ。
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