新人達。
「今回のチビッ子は結構多いな。十二人?」
シャトに手伝ってもらって小学生以下を集めた結果、それだけの人数が集まった。現在はショップの前に集まってもらってる。
俺がチビの保護を申し出てるのを知った他の奴らが自分も助けろと言って来たが「うるせぇ死ね」と言って追い返した。
一応、中学と高校生ならチビの面倒を見るならって条件で保護しても良いと伝えたら、中学生女子が一人残った。また女子か。
他は「これ転生!? チートあり!?」みたいなこと言ってはしゃいでた。アホだな。チート貰えるのはゲームクリア後だよ。
自分は保育士の資格が有るから子供の世話も〜、とか言う奴は「此処じゃ資格は役に立たんのだ。残念だったな」と追い返す。
いやもう群がって来るなよ。俺は子供に自活させようとしてんだよ。ずっと保護しようとしてんじゃねぇんだ。
「おう、あんたかこの辺の頭か? ちょっとツラ貸--」
「死ね」
そして不良漫画の世界に生きて死んだらしいアホが喧嘩を売ってきたので顔面が凹むほどに殴ってやった。
レベル2の防具でスキルバフ積んでる俺の拳は、一般人に耐えられるもんじゃない。
俺のイェーガーは現在、『
それに、スキルは普段からちょっとした補助をしてくれるが、発動を意識して行動すると結構な効果を発揮する。
結果、自分の腕一本で『テッペン(笑)』を目指してたらしい不良君は俺の一撃でダウンした。
うむ。新人チビの前だから殺しは控えるかって思ったけど、今のあれ、ダメだな。
多分、
「流石に、手が早かったんじゃ……?」
「いや、あの手の馬鹿は自分の生きてる世界が正義だから、何を言っても馬鹿な事をウダウダ言って来たと思うぞ」
拳で分かり合う世界で生きて来たタイプの
海を知らぬ者に海を説明しても『大きな水溜まり』でしか無いのと一緒。分からない、知らない
「でも、殺すことなかったんじゃ……?」
「いや殺してないよ。……このままだと死ぬだけで」
「世間は、それを殺したと言うはず」
シャトにジト目を向けられ、しかしチビッ子からはキラキラした目で見られつつ、俺は深い溜め息を零しながら出費を受け入れた。
「はぁ、分かったよ。治せば良いんだろ」
ちょうど良かったから、俺はポーチからポーションを一本取り出しながら殴り飛ばしたアホに近付き、その中身をぶっかけながら周りに居た新人達に教える。
「はーい注目! この世界にはこんな風に、怪我をあっという間に治せる薬品などがあるファンタジーな世界だ。ほら見ろ、脳挫傷で死にそうだったアホが治ってく」
アホの治療をデモンストレーション代わりに、この世界がもう現実じゃ無いことをしっかりと自覚させる。
「そして、この世界にはもう警察も自衛隊も存在しない。もちろんこの中には元警官や元自衛官も居るかも知れないが、組織も法も存在しない。この世界の秩序は個々個人に委ねられてる。だからこんな風に腕っ節で解決しようとする馬鹿は、腕っ節でボコボコにされた挙句殺されても自業自得だ」
今日は皆への刺激が強過ぎるだろうから治療したが、本当ならほっといて死ぬに任せてる事も伝える。
「嘘だと思うならその辺の先輩達に聞いて見ると良い。俺は既に、仲間を襲って食い物を奪おうとした強盗を殺害してる」
息を飲む人々を無視して、今度はチビッ子達に向き直る。
「おいチビッ子ども。この世界はぜんっっっぜん優しくねぇぞ。子供相手にも大人と同じ事をしろって言われるからな。神にとっちゃ大人も子供も同じ一つの魂だからな」
それでも、ついてこれるか? そう聞くと、困った顔になってしまうチビ達。
「まぁ、急にそんな事言われても困るよな。だから、分かるまでは生きるの手伝ってやるから安心しろ」
近付いてしゃがんで、目線を合わせて近くに居たチビの頭をクシャクシャと撫でる。
「最後に。俺が支援するのは自立が難しいチビだけだし、支援もあくまで『チビ達が自分の力で生活出来るようになる』までの手伝いだ。寄生がしたいだけの大人は諦めろ。あまり目障りだと殺すからな」
デモンストレーションが終わった頃、殴ったヤンキーの目が覚めたので「次、舐めた態度取ったら仕留める」と言い置いて、チビ達を連れて家に帰る。
流石に部屋が足りんけど、リビングのラグに雑魚寝するだけでも外で寝るよりはずっとマシだろ。
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