第9話〜純白の桃源郷、再び〜
・猫丸……レモン
・無頼様……まっちゃ、鎧の男
・兎蛍様……ミカン
・砂漠様……ゴマじい、若ゴマ、シャロール
・星花様……N、ミランダ
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N「イタズラ好きの精霊ティタニアが作り出したワープゲートが暴走し、ニャンバラは大混乱になった。それを解決すべく、動き出したゴマじい一行。
ゴマじいは『作戦がある』などと言い、ミランダの力でゴマじい一行は、〝ゲームの中の世界〟である〝シスエラ(略称)〟の世界へとワープした。そこでもまたティタニアのワープゲートが現れ、異変が始まっていた。
そこはゴマじいが若い頃、一度訪れた世界である。ゴマじい一行は、その時の若きゴマの姿を目撃する。が、突然謎の猫耳少女シャロールが現れ、若きゴマを連れ去ってしまう。
シャロールを追いかけようとしたゴマ一行だったが、その時……突如ゴマじいに向けて、謎の矢文が放たれた。
その文書を見るや、『作戦は上手くいっている』などと言うゴマじい。
果たしてゴマじいは……一体何を考えているのだろうか。矢文を放ったのは、一体誰なのだろうか……。レモン、ミカン、まっちゃは全く理解が追いつかないでいた」
ゴマじい「はて、ミランダや。さっきワシに何か言おうとしなかったかの?」
ミランダ「……ごめんね、ゴマくん」
N「ミランダは高度を下げ、ゴマじいの顔の前へと飛んで来て言う」
ミランダ「あたし、嘘ついてたの。前にゴマくんがこの世界から帰った後、ゴマくんは『もう一度この世界に来たい!』と言ってたのに、あたしは……『〝ゲームの世界〟へはあたしの力でワープゲートを繋げるのは無理よ』、と言って断ったわよね。でも本当は、〝ゲームの世界〟だろうがどこだろうが、ワープゲートを繋げることは出来たのよ」
ゴマじい「……ああ、覚えとるぞい。ワシはシャロールちゃんにもう一度会いたかったからの。でも何故そんな嘘などつく必要があったのじゃ?」
ミランダ「あの直後にね、この〝ゲームの世界〟で、〝何かとんでもなく大変なこと〟が起きてるのを感じたから……ゴマくんたちを行かせるのは危険だと思ったの。何が起きてるのかはあたしはわからなかったけど、すごく危険なことが起きてるのは分かってたわ。つまりこの後……その〝大変なこと〟が起きるってこと。気をつけてね!」
ゴマじい「いいのじゃ。シャロールちゃんには、ちゃんとまた会えたのじゃから……って、あー! シャロールちゃんを見失ってしもうた! はて、あの時……ワシらはどこへ行ったんかいのお……?」
ミランダ「あの時確か、ケスカロールの街へ向かったんじゃなかったかしら?」
N「謎の矢文に気を取られ、ゴマじい一行は不思議な猫耳少女シャロールの行方を、見失ってしまっていた。シャロールは、若きゴマ、若きルナを抱いたまま、何処かへと姿をくらませてしまった」
レモン「ん? ゴマ様! あれは!」
N「近くに見える街の入り口から、人々がざわざわと声を上げながら慌ただしく出てくる。街の人々だろう。ゴマ一行がいる道の反対方向へ、数百人はいるであろう街の人々が、土煙をあげながら走って行く」
ミカン「街で何かあったんじゃない? 行ってみる?」
まっちゃ「あれはただごとじゃなさそうだね」
N「次の瞬間、何か青くてプルプルした巨大な物体が、ゴマじいの頭上から降ってきて、ゴマじいを踏み潰した」
ゴマじい「……ぷぎゃあ⁉︎」
ミカン「ゴ……ゴマ様⁉︎ 大丈夫ですか⁉︎」
レモン「ゴマ様! な、何だこの青い物体の群れは!」
ゴマじい「げほっ……コイツは……スライムぢゃ!」
N「気付けば、ゴマじい一行の周りには巨大なスライムの群れ。数百匹はいるであろうスライムたちは、プルプルと飛び跳ねながら、先程人々が出て行った街の中へと入っていく」
ミカン「うわわわ……びっくりした! 街の人が逃げてたのって……スライムたちが街を襲うから?」
ゴマじい「……違うぞい。スライムが、悪者に追われ、街に逃げ込んでくるからじゃ! ……そうじゃ、思い出してきたぞい! その悪者が……」
N「スライムの群れの後から、今度は黒い鎧に身を包んだ男と、20体ほどのカエルのような形の巨大なロボットがガシャガシャと音を立てて飛び跳ね、ゴマじい一行の方へと迫ってくる」
まっちゃ「何だよあれはー!」
ゴマじい「その悪者が、あの黒い鎧の男じゃ。……そうじゃ! あの時ワシらはシャロールちゃんと共にあの街……ケスカロールの街へ向かったんじゃった!」
ミランダ「その悪者は、〝シスエラ〟の世界の魔物を無差別に殲滅しようとする団体〝マゴッツ〟……だったわね! ……あ、危ない‼︎」
N「カエル形のロボットを率いる、黒い鎧の男が怒号を上げる」
鎧の男「邪魔だ猫ども、どけぇい!」
ゴマじい「どわああっ!」
レモン「ぐはっ!」
ミカン「うわあっ!」
N「ガシャガシャと音を立てて飛び跳ねるカエルロボットの群れに巻き込まれるゴマじい一行。全員、何とかカエルロボットの足を避け、ペシャンコにされることは免れた」
ゴマじい「いてて……。こうしてはおれぬ! 街へ急ぐぞい!」
レモン「分かりました……。一体何なのだ、奴らは……」
N「態勢を立て直し、ゴマじい一行は、ケスカロールの街へと急いだ。
街に到着すると、門から西の方角より、ガシャガシャと激しい金属音が聞こえる。ゴマ一行は、金属音のする方へと急行した」
ゴマじい「こ、こっちじゃ……ヒイ、ハア……」
ミカン「ゴマ様、大丈夫ですか?」
ゴマじい「急がねば……、ヒイ、ヒイ……。み、見えたぞい。あれが、シャロールちゃんの家ぢゃ! シャロールちゃんも、若き頃のワシも、あの家の中におるわい!」
N「ゴマじいが指差した先にある一軒の民家が、何と先程のカエル形のロボット20体に、取り囲まれていた。
ゴマ一行は、近くの建物の陰に隠れた」
ミカン「さっきのカエルロボット!」
レモン「……む、あれは!」
N「突如シャロールの家から、道着に身を包んだ青色の体毛の猫が飛び出してくる。二足で駆け回りながら、自身の体の何倍もの大きさのカエルロボットを殴り、蹴り、次々と破壊していく」
ミランダ「星猫戦隊コスモレンジャー、熱血武闘家ソアラくんね! 若いゴマくんが転身の口上を忘れて戦えないから、あの時あたしが呼んだのよ!」
レモン「ソアラ殿⁉︎ ご存命の時を、目の当たりにすることが出来るとは……!」
ゴマじい「……ソアラは、良き相棒ぢゃった。懐かしいのお……。また奴の好きな羊羹を供えに行かねばの。……さて、そろそろ若き頃のワシも活躍する頃合いぢゃ」
まっちゃ「おお! 若い頃のゴマ様が戦うところが見られるの⁉︎ 見たい、見たーい!」
ゴマじい「ミランダや、あの民家の洋間の、押し入れの中へとワープさせてくれんかの?」
ミランダ「……いいけど、狭いわよ?」
ゴマじい「いいのじゃ、早く、間に合わぬではないか!」
ミランダ「分かったわよ、それっ」
N「ゴマ一行はミランダの力で、シャロールの家の洋間の、押し入れの中にワープした。暗く狭い空間に、ぎゅうぎゅう詰めになるゴマ一行」
まっちゃ「んあ〜、狭いいい!」
ゴマじい「これ、大声を出すでない。これから、素晴らしい物が見られるのぢゃからの。しばし我慢せい」
ミカン「……ゴマ様、街へは最初からミランダさんにワープさせてもらえば良かったのでは?」
ゴマじい「……ほほ、それもそうじゃったのお。さて、ふすまを少し開けるぞい。よく見ておれ!」
N「一行の目に映った光景は、窓の外を眺めてソアラの活躍に見とれる猫耳少女シャロール、それを見て悔しさに唸り声をあげる転身できない若きゴマ、壮絶な戦いに体を震わせる若きルナ、そしてスライムの群れ」
ゴマじい「見ておれ、特にレモン、まっちゃ」
レモン「ふむ! これから若きゴマ様の活躍を見ることが出来るのか!」
まっちゃ「わくわく……!」
N「次の瞬間だった。
シャロールの穿いていた紺色のスカートが窓から吹き込んできた風を受け、ふわりと舞い上がる。
すかさず、若きゴマが体を起こし、シャロールのスカートの中を凝視する」
若ゴマ「白だ」
シャロール「え?」
若ゴマ「そうか! 白だったのか!」
シャロール「え、何ゴマくん、いきなりどうしたの……?」
N「スカートの中の白いパンツが、ゴマじい一行の目にも入る」
まっちゃ「ぶううっ」
ゴマじい「ふひょおおおっ! 純白の桃源郷ぉ、またこの目に焼きつけることができたとわぁ!」
レモン「……ゴマ様?」
ミカン「ゴマ様……」
ミランダ「うふふ、やれやれ、ゴマくんったら」
N「鼻血を噴き出す、ゴマじいにまっちゃ。
一方、若きゴマは、体を紫色の光に包み始める……!」
若ゴマ「きたあァァーーーー! きたきたきたきたきたきたきたきたきたァァァァーーーーッ‼︎ 思い出したぜ! ……聖なる星の光よ! 我に愛の力を!」
N「シャロールのパンツを見ることで転身の口上を思い出した若きゴマは……」
若ゴマ「
N「見事、暁闇の勇者ゴマに転身したのである。……しかし」
ゴマじい「さあ、若き頃の、イケイケなワシの活躍を見るがいい……む?」
まっちゃ「えへへ、いいもの見れたぁ〜」
ミカン「ゴマ様は昔から、変態だったんですね。まっちゃも、いつまで鼻血垂らしてるの! だらしない!」
レモン「……ゴマ様、純白の桃源郷とは何のことです? アレは、ただの布ではないですか。何が良いのか、拙者にはさっぱり分かりかねますぞ」
ゴマじい「……な! 何を言うか! ただの布⁉︎ た、だ、の、布じゃと⁉︎ それは聞き捨てならぬな! 聞け、レモン! お主は分かっておらぬ……」
N「……ゴマじい一行が揉めている間に、若きゴマはソアラと共に、カエルロボット20体を全て始末してしまったのであった」
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