第8話〜若きゴマ現る〜

・ゴマちゃん……若ゴマ、レモン

・無頼様……まっちゃ、狼

・兎蛍様……ミカン、若ルナ

・砂漠様……ゴマじい、猫耳少女

・星花様……N、ミランダ


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N「ダイカーンの悪行の証拠を暴く方法はないかと思案するレモン、ミカン。そこでゴマじいは『作戦がある』と言い、ミランダを呼び出した。ゴマ一行はミランダのワープゲートで〝異世界転移していない!? ここは-システムエラー-界らしいです~ちょっとおかしな……長いわ!〟の世界へとワープする。そこで突然、どういうわけか別のワープゲートから、若き頃のゴマが眠ったまま飛び出してきたのである」



ミカン「あ! 若いゴマ様が目を覚ましたよ!」



N「若きゴマと若きルナは2匹して前足で顔を洗い、周りをキョロキョロと見渡している」



若ゴマ「何だココは……。とりあえず、探検するか! 行くぞ、ルナ!」


若ルナ「……何か楽しそうだね、兄ちゃん」



N「テクテクと歩き出す若きゴマ、ルナ。……と、そこに突然!」



狼「グガオオオオォォォンーー!」



N「獣の声が響く。

 見ると巨大なオオカミの姿。今にも飛びかかろうと構えている。

 いつの間にか周りにも、10匹ほどの同じような黒色の体毛のオオカミが、すでに若きゴマと若きルナを取り囲んでいた」



まっちゃ「うわああ……! 若いゴマ様がああ!」


レモン「若きゴマ様にルナ様! 今助けますぞ!」


ゴマじい「待つのじゃ。その必要はない」


レモン「いやしかし……む?」



N「オオカミの群れに包囲された若きゴマは、二本足で立ち前脚を天に掲げ、かつて世界を救った勇者……〝暁闇の勇者・ゴマ〟に転身しようとする。転身の口上を唱える若きゴマ。……しかし」



若ゴマ「聖なる星の……あれ? 何だっけ!」



N「転身のセリフが思い出せずに、その場で腕を突き上げたまま、立ち尽くしてしまう若きゴマ。オオカミの群れが、ジリジリと迫る!」



若ルナ「兄ちゃあああん!」


狼「グガオオオオォォォン‼︎」


レモン「若きゴマ様あああー! ルナ様ああああ‼︎」



N「オオカミたちは一斉に、若きゴマ目かけて飛びかかった!」



若ゴマ「逃げるぞ! ルナ、ボクに掴まれ!」


 

N「若きゴマはルナを背に乗せ、逃走を試みた。行手を阻もうとするオオカミの足の隙間を、どうにかくぐり抜けた若きゴマ。

 その直後だった。

 若きゴマ、若きルナは、その場を通りかかった、猫耳の少女にひょいと抱っこされる」



猫耳少女「ガウガウ!」


狼「……ガウガウ」


猫耳少女「ガウガウ……ガウガウ!」


レモン「ああ、若きゴマ様が! あの少女は一体……?」


まっちゃ「あれ? オオカミが、大人しくなっちゃった」



N「猫耳少女は、ひたすらガウガウと鳴き始めた。すると。

 若きゴマたちを襲ったオオカミの群れは、それに呼応するようにガウガウと鳴き始める。オオカミたちは段々と大人しくなったと思うと、尻尾を振りながらUターンして帰って行った。まるでオオカミたちと会話をしたかのようだった。

 その不思議な猫耳少女は、サラサラとした青みがかったロングヘアー、オレンジ色のシャツ、紺色のスカートを着ていて、腰からは尻尾がピョコピョコと動いている」



猫耳少女「……良かったぁ。猫ちゃんたち、危なかったね」



N「そう言って若きゴマたちをギュッと抱く猫耳少女。その様子を見ていたゴマじいの頬は、赤く染まっていた。そしてゴマじいは、ふらーっと、猫耳少女の方へと向かっていく」



ゴマじい「ふぉふぉ、やーっと会えたのお。シャロールや」


ミカン「ちょっとゴマ様!」


ミランダ「……」


レモン「ミランダ殿……? どうかなさいましたか?」



N「何故か、申し訳なさそうな顔をするミランダ」



ミランダ「ゴマくん、あのね、実は……」



N「ミランダがゴマじいに何かを言おうとした、その時!」



まっちゃ「ゴマ様ぁ! 危なあい‼︎」


ゴマじい「……むうっ⁉︎」



N「何と、風車のついた矢が、ゴマじい目がけて飛んできたのである。ギリギリのところで矢を避けたゴマじい。地面に突き刺さった矢を見ると、文書が結びつけられていた」



ミカン「ゴマ様、大丈夫ですか?」


レモン「や、矢文? 一体どこの誰が……?」



N「駆けつけたレモンは、風車のついた矢に結びつけられた文書を開き、ゴマじいに見せた。じっと文書の内容を見るゴマじい」



ゴマじい「……ふむふむ。なるほどのう。ワシの作戦は上手くいっておる」


レモン「む? どういうことなのです⁉ 理解が追いつかぬ……」


ミカン「明らかにゴマ様が狙われていたのに、作戦が上手くいっているってどういう……? まさか、とうとうボケちゃった……⁉︎」


まっちゃ「ゴマ様の命がぁ、狙われてる……?」


レモン「そ……その文書は殺害予告かもしれませぬぞ! 念のため、拙者に見せてはくださらぬか!」


ゴマじい「心配は要らぬ。全ては作戦通りじゃ」



N「ゴマじいは、文書をレモンに見せることなくポケットにしまい込んでしまった。不安が募るばかりのレモン、ミカン、まっちゃ。

 ゴマじいの作戦とは、一体……?」

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