第7話〜System Error〜

・ゴマちゃん……レモン

・無頼様……まっちゃ

・兎蛍様……ミカン

・砂漠様……ゴマじい

・星花様……N、ミランダ


————


N「ダイカーン城を後にし、ニャンバラの街を歩くゴマ一行」



レモン「ダイカーン殿は、面白おかしい世にするために民の声を聞き届けると、選挙の時に散々言っていたのだが……。アレはきっと、当選するための都合の良い言葉だったのだ。そのような気がしてならない」


まっちゃ「もぐもぐ……レモンは疑り深いなぁ、もぐもぐ」


ミカン「ティタニアは、ダイカーンがこの騒ぎに加担してるって言ってたよね。どうにかして証拠、掴めないかな?」



N「レモンたちの話を聞いていたゴマじいが、ドヤ顔で口を開く」



ゴマじい「ほっほ、心配はいらぬ。すでにワシの考えた作戦が始まっておるわい」


ミカン「ゴマ様の作戦……? 信用できるのかなあ」


ゴマじい「ならその作戦、見せてやろう。ワシについてくるがいい。ミランダや!」



N「ゴマじいがミランダを呼ぶと、すぐに金色の光がゴマじい一行の真上から降り注ぎ、ミランダが姿を現した」



ミランダ「はぁーい。次に行く場所は……分かってるわ。あそこね」


ゴマじい「ああ……あそこじゃ。今のミランダなら、出来るな?」


ミランダ「……うん! あれからたくさん修行したもの。〝ゲームの世界〟だろうと、どこでも繋げられるわ! ……てことで、行き先は、〝異世界転移していない!? ここは-システムエラー-界らしいです~ちょっとおかしなゲームを攻略しなきゃいけなくなりました~〟の世界ね?」


ゴマじい「ほっほ。よろしく頼むぞい」


ミランダ「……あと、みんな服を着て二足歩行のままワープできるようにしておくから。その方が何かと都合いいでしょ。じゃあ、行くわ! それっ!」



N「ミランダが呪文を唱えると、いつものように地面に、虹色に輝くワープゲートが現れた」



ゴマじい「さあ、行くぞい」


レモン「ゴマ様……? こんな時にいったい何処へ行こうというのです!」


ゴマじい「いいから、ついてくるんぢゃ」


まっちゃ「わああ、待ってよおお!」



N「虹色の光に包まれるゴマ一行。光が晴れたら、ニャンバラの街とは全く違った光景がゴマじいたちの目に入った。そこに広がるのは、緑の草原。土が剥き出しの砂利道。遠くには西洋風の建物が立ち並ぶ街の入り口が見え、反対側にはこれまた西洋風の城が聳え立つ。

 ミランダの魔法のおかげで、前回のワープの時と違って、ゴマじい一行は服を着て二足歩行で〝別世界〟を訪れることができた」



まっちゃ「あ! ちゃんと普通に歩ける! やったあ!」


ミカン「……すごーい。まるで何とかクエスト……みたいな世界だね。ドラゴンとか出てきそう」


レモン「ここは……一体……?」


まっちゃ「ひゃー、見てあそこ! 見たことない建物があるよ!」


ゴマじい「これこれ、皆、早くあの木の陰に隠れるのぢゃ」


レモン「む、敵がいるのか!」



N「レモンは刀を抜き、構えるが、周りに敵の気配は無い」



ゴマじい「何をしておる、早くこっちに来んか」


レモン「ゴマ様、一体何を……? もしや、今からゴマ様の作戦を実行するおつもりか?」


まっちゃ「窮屈だよー……」



N「木の陰に隠れるゴマ一行。しばらく待っていると、砂利道の方に何とワープゲートが現れ、そこから何と眠ったままの2匹の猫が飛び出してきた。1匹は白黒模様でふわふわの体毛の猫、もう1匹はひとまわり小さな、これまた白黒模様の子猫。そう、この猫たちは……」



ゴマじい「見るがよい。アレが若い頃のワシぢゃ。横におるのはルナぢゃよ」


ミカン「ええー⁉︎ ゴマ様、若い……。そして毛並みがつやつやだ……!」


レモン「それに、ルナ様⁉︎ 現ニャガルタ聖騎士団総帥のルナ様! ああ、何と凛々しきお姿!」


まっちゃ「でも何で、真っ裸で寝てるの?」


ゴマじい「それはワシもルナも、地上世界出身じゃからじゃ。地上のネコは、みんな四足歩行。服なぞ着たりはせん。ネコは元々はそういう生き物なんぢゃよ。お前たちも地上ネコじゃが、永くニャンバラで暮らしたもんじゃから、そのことを忘れておるのじゃ」


レモン「何ですと⁉︎ ゴマ様も我々も、てっきりニャンバラ出身かと……」


ミカン「はぇー、知らなかった。お父様もお母様も、僕たちが生まれた時のこと、あまり話してくれなかったからなあ」


ゴマじい「ところでの、若い頃のワシらがなぜ突然……この世界に飛ばされたか分かるか?」


レモン「む? 何故……? と聞かれましても……」



N「突然の問いに、レモンたちは頭を抱える。ゴマじいは再び、ミランダを召喚した」



ミランダ「はぁい。あ、あれは過去のゴマくんのたちね。てことは……なるほど、のことね」



N「ミランダの姿を見てレモンは、ぽふん! と手を打った」



レモン「わかりましたぞ! ミランダ殿に頼んで、この世界へワープさせてもらったのでは?」


ゴマじい「いいや、そうではない」


ミランダ「うん。あたしじゃないわ」


レモン「ふむ。では何故……?」



N「ゴマじいは、広がる草原の遥か向こうを指差して言った」



ゴマじい「目を凝らして見ているがいい。……見えたか?」


ミカン「ん? ……あ、あれは!」


まっちゃ「ワープ……ゲートが……」


レモン「現れたり、消えたりしている……⁉︎」



N「そう、この〝異世界転移していない!? ここは-システムエラー-界らしいです~ちょっとおかしなゲームを攻略しなきゃいけなくなりました~〟の世界でも——異変は起きていたのである。

 そう頻繁にではないが、草原のあちこちで、ワープゲートが現れたり消えたりを繰り返している」



ゴマじい「いつも通り住処で寝ておった時に、突然現れたワープゲートに飲み込まれ……この世界へと飛ばされた、という訳ぢゃ」


ミランダ「……てことは、これもティタニアの仕業だったのね。何てこと……。時間までも超えて、あの子のイタズラが広まっちゃう!」



N「程なくして、砂利道に寝転がっていた若きゴマ、若きルナが目を覚ました」

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