第6話〜ダイカーン城へ〜
・ゴマちゃん……レモン
・無頼様……町民A、ダイカーン
・兎蛍様……町民B、ミカン
・砂漠様……ゴマじい
・星花様……N、ミランダ
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N「突如現れるワープゲートに巻き込まれるのを防ぐ力を持つ、ミランダの魔法〝マジバリア〟。その力を増幅させ、一瞬にしてニャンバラの町民たちに〝マジバリア〟を張ることに成功したゴマじい。ゴマ一行は、町民たちに大いに感謝されるのだった」
町民A「いやあ、ありがとうございます。これであの虹色の渦に飲み込まれる心配は無くなったわけですな」
町民B「ひとまずは、安心ってとこね。お爺さん、ほんとにありがとう」
ゴマじい「ほっほっほ。このぐらい朝飯前じゃ。ほっほっほー」
N「すっかり得意になるゴマじい。ゴマじいの只ならぬ魔力を目の当たりにし、興味を持った町民たちは、ゴマじいに次々と質問を投げかける」
町民A「それにしても、凄いお爺さまですな。お爺さまはいったいどのようなお方で?」
町民B「御隠居さんはただの旅の者ではないでしょう? こんな凄い魔法が使えるなんて」
N「ゴマじいは鼻息を荒くし、杖をドンと地面に突き立てながら答える」
ゴマじい「よくぞ聞いてくれた。ワシはのぉ、かつて世界を救った勇者なのじゃぞい! 証拠もあるぞい。この十六菊……」
ミカン「(ゴマじいの言葉を遮って)いえいえ! このお方は、お節介焼きのただの旅の隠居ですよ」
ゴマじい「こ、これミカンや。誰がお節介焼きじゃ?」
N「レモンはすかさず、ゴマじいが懐から取り出した十六菊花の印を取り上げ、ポケットにしまう」
レモン「(小声で)ゴマ様! この十六菊花の印は、無闇に他人に見せるものではありませぬぞ」
ゴマじい「わ、わかっておるわい。じゃがワシは、ただのジジイ扱いされるほど落ちてはおらん!」
町民A「……そうですよね。まさかあの伝説の勇者がこんなところに居られはずはないですもんね」
町民B「御隠居さん、どうもありがとう。それではー!」
ゴマじい「ま、待つんじゃ! ワシはぎょーーあんのゆーーーしゃーーああ……」
レモン「ゴマ様、ミランダ様がお呼びですぞ」
N「姿を消していたミランダは、再び金色の光とともにゴマ一行の前に現れた。ゴマ一行の近くを落ち着きなく飛び回るミランダ」
ミランダ「みんな聞いて。ニャンバラだけじゃなく、他の街も、それにさっき行った別世界も、ワープゲートのせいで既に大混乱が起きてる。早く、根を絶たないとね。まずはダイカーンの元へ急ぎましょう」
レモン「承知!」
まっちゃ「そうだね。急ごう!」
ゴマじい「では、行くかの。ダイカーン殿の屋敷へ!」
レモン「ゴマ様! ダイカーン殿の屋敷はそっちではありませぬぞ!」
ミランダ「あたしのワープゲートを使った方が早いわ。みんな集まって!」
N「ミランダのワープゲートで、ダイカーンの屋敷の前に到着したゴマ一行。お堀があり、橋を渡って屋敷の入り口へ向かう。いや、屋敷というよりも、外見は日本における〝城〟である。ダイカーンの部下に城の中を案内され、ゴマ一行は無事にダイカーンと対面することができた」
ダイカーン「何ももてなせなくてすまない。次からは、アポを入れてもらえたら助かる」
レモン「急ぎの用事ゆえ、突然の訪問、失礼致す。拙者はレモンと申す」
ゴマじい「ほっほっほ。ワシこそは暁闇の……」
レモン「ミカン、ゴマ様の口を押さえておいてくれぬか」
ミカン「うん」
ゴマじい「はうっ! もごもご……」
レモン「単刀直入に申し上げる。まさに今、ニャンバラにて、虹色の空間より突如、物が現れたり無くなったりする事件が多発しておるのはご存知であろう。ダイカーン殿……、この事件について何か心当たりないか?」
N「ダイカーンは玉座のような豪奢な椅子から立ち上がり、床に跪いて頭をそっと下げながら答えた」
ダイカーン「突然物が消えたり現れたりする騒ぎが起こっているのは知っている。だが、その原因はワシにも分かりかねる。申し訳ない」
レモン「そうか……」
ミカン「で、でも何か対策を考えたりとかは、してないの⁉︎ 知事なんでしょ?」
N「ダイカーンは立ち上がり、ゴマ一行に背を向けて答える」
ダイカーン「分からぬものを何とかしようとしても仕方ないだろう。逆に、この騒ぎによって、より楽しい世界になったとは捉えられぬか? ポジティブに考えるのだ。どこにどんな物が現れるか、ワクワクしないか? いつどこへどんな場所に飛ばされるか、ウキウキしないか?」
レモン「……否、それにより多大な迷惑を被っているという声も聞く。民の声を聞くのも、知事の役目では無いか?」
N「ダイカーンは再び豪奢な玉座に座って脚を組み、少し間を置いて答えた」
ダイカーン「……。そうだな。分かった。そこまで言うなら、何か策を考えるとしよう」
N「レモンは目を細め、ダイカーンをキッと睨む」
レモン「あるいは……ダイカーン殿自身がこの騒ぎに加担しているとの声も聞くが」
まっちゃ「ダメだよ、レモン。失礼だよ、証拠も無いのにさ」
ダイカーン「……」
N「玉座に座ったまま、うつむくダイカーン。その様子を見たゴマじいがそっと立ち上がる」
ゴマじい「ふむ。……ここはひとまず、ワシらは帰ろうではないか。忙しいところすまんかったのう、ダイカーン殿」
レモン「ゴマ様!」
ミカン「……ゴマ様、もっと色々聞いておかなくても、いいんですか?」
ゴマじい「いいんじゃ。帰るぞい」
まっちゃ「ねえレモン、ミカン。ダイカーンさんだって、色々考えてくれてるんだから。ここは信じようよ」
レモン「……まっちゃもそう言うならば……。では、失礼仕る」
ダイカーン「また何か困ったら、いつでも訪ねてくるが良い」
N「ダイカーン城を後にするゴマ一行。ゴマじいはダイカーンを信用し、立ち去ったのだろうか。それとも、ゴマじいなりの考えがあるのだろうか。あるいは、ただ面倒になっただけの可能性も否定できない……。まっちゃはゴマじいを信用しているようだが、レモン、ミカンは煮え切らない思いのまま、ゴマじいについていくのだった」
ダイカーン「……ふん。何やら邪魔が入りそうな予感がするな」
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