第5話〜ゴマじいの本気〜
・ゴマたん……レモン
・無頼様……まっちゃ、町民B
・兎蛍様……ミカン、町民A
・砂漠様……ゴマじい
・くらげ様……N、ミランダ
——————
N「別世界にワープさせられてしまったゴマ一行。ひとまず元の世界ニャンバラの街へ戻るべく、かつてゴマじいと共に旅をした精霊ミランダを召喚してワープゲートを出してもらおうということになったのだが……」
ゴマじい「ミランダ? はて? そんな精霊おったかのう?」
レモン「ゴマ様! ふざけてる場合ではありませぬぞ!」
ミカン「さすがにそこまでボケてはいないでしょ……。さあ早く!」
ゴマじい「ほっほっほ、分かっとるわ。ワシの頭はまだまだ冴え渡っておるわい。……風の精霊ミランダや! 現れるがよい!」
N「一行の真上に金色の光がいくつも現れ、雪のように舞う。その光が一つになり、小さな女の子の姿になった。とがった耳、黄金色の長い髪。背中にはトンボのような羽が生え、緑色の薄手の服を着ている。
彼女の名は、風の精霊ミランダ。ティタニアと同じくワープゲートを自在に扱い、その力でかつてのゴマたちの冒険をサポートしてきたのである」
ゴマじい「ほっほ、久しぶりじゃのう。……久しぶり……ぶりぶり……そうじゃ。ミランダや、おぬしはかなりのぶりっ子じゃったのお、ほっほっほ」
ミランダ「……ゴマくん? 久しぶりね……って、一体何言ってるの? どうしちゃったの?」
ミカン「あー、ゴマ様はもうトシだからね……」
ミランダ「あらあらゴマくん、すっかりお爺ちゃんになっちゃって。やっぱ、みんな歳はとっていくものなのね。……で、あたしに何の用ー?」
ゴマじい「お久しぶりのぶりっ子ぶりぶりぃ……そ、そうじゃ! ワシはブリが食べたいぞい。ミランダや、今すぐブリを出すのぢゃ!」
レモン「……ゴマ様? (怒)」
ゴマじい「……あ、ああわわわわわレモンや、わ、分かっとるわい。ワ……ワープゲートで、ワシらをニャンバラの街へ送り届けて欲しいのぢゃ」
ミランダ「……なるほど、ここはどうやらずいぶん未来の地球みたいね。でも、どうしてこんなところへ?」
N「ミランダは8の字を描きながら飛び回り、周りの景色を見渡す」
ミカン「ティタニアとかいう精霊のイタズラのせいで、こんなところに送られちゃったんだ。僕らの世界、ワープゲートがあちこちで現れてはいろんなものが現れたり消えたりしてて、大変なことになってて……」
まっちゃ「このままだと、世界が大混乱になっちゃうよぉ」
レモン「そなた、同じ精霊なら、ティタニアを知ってはおらぬか?」
N「この騒ぎの元凶であるティタニアの名前を聞いたミランダは、ハッとしてゆっくりと高度を下げながら言う」
ミランダ「ティタニア⁉︎ あの子……。ついにやったわね。早くあの子を止めなきゃ」
ミカン「じゃ、じゃあミランダさんもこの事件を解決するのに力を貸してくれるのかい?」
ミランダ「あの子を好き勝手させたあたしたちにも責任はあるからね。……でもあの子を捕まえるのはあたしでも無理なの。まずはこれ以上被害が広がらないようにしなきゃね」
レモン「ではひとまず、我々をニャンバラの街へ送ってくれまいか」
ミランダ「そうね。……ハラヒレーミソパァーラ! ミソカラァーソーセージ!」
N「ミランダが呪文を唱えると、地面に、虹色に輝く円形のワープゲートが現れた」
ミランダ「じゃあみんな、ワープゲートの上に集まって」
ゴマじい「ほっほ、行くぞい」
まっちゃ「こ、これでいいの?」
N「ゴマ一行がワープゲートに集まると、周りが白い光に包まれていった。景色が溶けていく。程なくして、光が晴れる」
まっちゃ「わぁー! ニャンバラの景色! 無事に戻ってこれたんだね!」
レモン「ああ……だが。何て事だ!」
ミカン「街が……大変なことになってる!」
N「ミランダのワープゲートで、無事ニャンバラに帰ってきたゴマ一行。しかしニャンバラの街は、さらにカオスな状況となっていた。
地面にも、壁にも、空にも、大小さまざまなワープゲートが現れては消え、また現れては消える。そこでは得体の知れない物や生物が突如現れ、またニャンバラに存在していた物や住民が次から次へと吸い込まれる。
住民の悲鳴が響き渡る、ニャンバラの街」
ミランダ「何てこと……。ティタニアだけでこんなことは不可能だわ。間違いなく、グルになってる輩がいる。……とりあえず、あたしの力で住民だけでも守らなきゃ。……マジバリアッ‼︎」
N「ミランダの体が虹色に光り輝くと、ゴマ一行の周辺の住民の猫数匹の周りに、金色の膜のようなものが張られた」
町民A「……な、何よこれは⁉︎」
町民B「体が、光る膜に覆われてしまったぞ?」
ミランダ「聞いて! これは〝マジバリア〟よ。あのワープゲートの魔力を防いで、突然異世界に送られるのを防ぐバリアなの。だから安心して!」
町民A「え……本当⁉︎ じゃあ安心ね……って、どこから声が聞こえてるの⁉︎」
町民B「信じていいものだろうか……? 全く、変なことばかり起こるな……」
N「ミランダの姿は、ゴマ一行にしか見えない。不審がるニャンバラの住民たち。だが、それでも今は住民を守ることが最優先だ」
ゴマじい「ミランダや、力をワシに分けておくれ」
ミランダ「うん! 昔みたいに、ゴマくんの魔力であたしの力を増幅して、住民のみんなに〝マジバリア〟をかけて!」
ミカン「それなら、僕も協力するよ。僕は魔導士だからね。……僕はミカン。よろしくね、ミランダさん!」
ミランダ「ミカンちゃん、ありがとう。よろしくね」
N「ゴマじいは、杖を地面に突き立てると、全身の毛を逆立てながら叫んだ」
ゴマじい「ふぉーーーっ! 〝マジバリア〟ァァァァーッ‼︎」
N「すると、街を歩く猫たちが次々と金色のバリアに包まれていく! 1分も経たないうちに、一行の視界に入る住民はすべて、〝マジバリア〟に包まれた。それを見たレモン、ミカン、まっちゃが目を丸くする」
ミランダ「さすがね! 歳をとっても、やっぱり最強ゴマくんは健在ね!」
ミカン「す……っごい」
レモン「これが……かつて世界を救った暁闇の勇者の力か……!」
まっちゃ「ひゃあああ! さすがはゴマ様だぁ!」
N「世界の平和がずっと続きますように……年老いても、その思いは変わらない。暁闇の勇者ゴマは、健在だ」
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