第2話 新しい女???

 部屋に入って最初に目にしたのは一人の少女。床まで届く長い白髪。しかし、普通の少女と言うにはいささかおかしな点がある。彼女の四肢に巻かれている薄汚れた包帯。その包帯の隙間から見える痛々しい傷の跡。また、首もとにはまるで何かに締め付けられていた跡。顔こそ1つも傷はないがそれ以外の部分とのアンバランスさが目立っている。そんな彼女だが、真っ白なワンピースをきている。そしてこちらを歓迎するがごとく話しかけてきた。



「ようこそいらっしゃいました、適正者の皆様。私、案内人を勤めているEと申します。私の使命は皆様の手伝いをすることにございます。私にできることならばするようにと申し付けられております故、何なりとお申し付けください。」


「え、今なんでもって。」

「はい。」

「え、っじゃあ、そのーーー」



 バタリ 貴方が何か言いかけたとき、不意に綾小路が貴方の言葉を遮り、彼女に抱きつき話し始めた。



「ちょっとあなたどうしたのよ!大丈夫?痛くないの?どこの誰がどうしてこんなにかわいい子にこんな酷い目に会わせてるわけ!私許せないわ!そんなことしたやつに今すぐにでも一発ユニコーンかかと落とししてやるわ!もー、どうしたのよ。うんとかすんとか言いなさいよ。あれ、もしかして、私ったら自己紹介もせずにいたから怖がっちゃった?ごめんね、今すぐ自己紹介するわ。あたしの名前は綾小路ヴィクトリア権三。気軽にゴンちゃんでもユニでも好きに読んで貰って構わないわ。これで私たちは友達。さあ、何でも悩み事をこのお姉さんに相談して頂戴な♪」


「あ、すみません。私の担当がこんなにも生き生きとして輝いている人だなんて思いもよらなくて、少しフリーズしていました。ごめんなさい。これに関してはあまりきになさらないでください。設定だと思っていただければいいです。」


「自分、質問いいですか?」


「はい。なんでもどうぞ。」


「あのさっき適正者の皆様と言っていた件についてなんですけど…適正者ってなんなんですか?僕たちが此処にいることと何か関係があるんですか?」


「はい。関係があります。此処にいる方はもれなく内に秘めたる力が存在しているかたでございます。我が主は皆様の潜在的な能力を必要としております。その為、身勝手ながら皆様を招待させていただいたわけでございます。」


「秘めたる力!!!!手から火とかが出せたりするんですか!!!!ズドーン、バーン、ドッカーンみたいに!?」


「申し訳ありません。私にもそこまでは分かりかねます。あくまで、素質を持つ方々をお呼びしたので、その素質の内訳まではこちらでも分からないのです。」


「あっはい。いや、こちらこそすみません、そんな質問をしてしまって。」


「ふーん、なるほどね。」


「まじで!?私も本当のユニコーンできるかもしれないってことか♪で、私達はどうしたら元の場所に帰れるか教えて貰ってもいいエネちゃん♪」


「エッ、エネちゃん!?」


「エネちゃんって呼ぶね♪仲良くしようね!でも、とってもかわいい貴女なのだけど、やっぱり足りないものがあると思うの...そう、"ツインテール"だ!だから貴様もツインテールにするんだよ!!!!!」



 権三はそんなことを熱く語っている内にエネと呼んだ少女の髪型をツインテールにした。それはもう見事なツインテールであった。



「はい、これで完成♪改めてよろしくね、エネちゃん♪」


「はい、ありがとうございます。綾小路様。私はエネ。エネ...言い名前を貰っちゃいました。ツインテールもありがとうございます。」


「だめ。様付け禁止。私達はツインテール。ツインテールガールなの。つまりツインテール同士ちゃん付けじゃなきゃ、めっ、だぞ。」


「わっ、分かりました。あ、あやちゃん。これでよろしいですか?」


「敬語も禁止!あーゆーおーけー?」


「わかりまし...わかった。これでいい?」


「うんうん良い子だね、エネちゃん♪それで、どうしたら此処から出られるのか教えて。」


「はい!皆様には他の部屋はこにわに隠されている石板を持ってきていただければいいです!そしたら元の場所に帰る経路パスが開くと思うので。」


「おっけー♪あれ、どうしたのエネちゃん!?」


「すみま...せん。ちょっと...喋りすぎたみたい...で...少し休ませ...て貰います...エネ...だけに...エネルギー切れ...ってね...」


「エネちゃ!?」



 いきなりの別れに動揺している権三にクリムゾンが声をかける。



「少したてばまた起きてくるだろうし、他の部屋でも行かないか?」


「しょうがないにゃ。他の部屋に行って見よう。そうしたらきっとエネちゃんも起きてるはずだし、とりま探しに行こう。いくぞ、皆のもの。」


「おう!」


「あ...ちょっといいか。」


「どしたん紫月君。」


「先行ってて。」


「え、なぜそのような事を申すか紫月よ!!!」


「この子の症状を詳しく診ておきたい。流石にこんな状態の奴放っては行けないだろ。俺は少し医学的な心得がある。だから、先に診て確認しておきたい。あと、カウンセリング的なこともやっておくから。」


「ふーん。まあ、エネちゃんの気になる所も有るし、何よりあんな世界で私の次に可愛い子が酷い怪我をしてるんだもの。あ、その事について聞くのを忘れていたわ。まあいいわ、私がエネちゃんに対して診察することを許可するわ!くれぐれも変なことはしないように。もし、いかがわしいことでもするようならあんたもユニコーン頭突きの刑にしてやるわ♪」


「いっ...いかがわしいことを!?」


「しねえよ。ほら、さっさと次の部屋にでも行っとけ。こっちはぱぱっと終わらせとくから。」


「ぱぱっとですって!?ちゃんと診なさい!」


「はいはい。ちゃんと診ておきますよ。」


「もー、行くわよギャラクシー。」


「は、はい!」



 そうして、新たな女との出会いがあった一行。片や少女との会話を、片や少女に疑問をぶつけ、片や少女そっちのけでこの部屋の調査をしている。そんなこんなで2人は正面の部屋に足を進めたのであった。




 次回へ続く。



 ※ガチごめん。大分大事なシーン抜け落ちてた。会話パートの加筆を行いました。

 ※綾小路の名前がエリザベスになっている所を修正しました。

 ※エネをツインテールにするシーンが抜けていた問題を解決しました。

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