月馬
久我宗綱
月馬
私は夜に日記を書いてから寝ることが多い。もちろん、毎日書くことがあるわけでもないし、そんな時間や気力が残っていないこともあるから必ずというわけではない。
たまに書いた記憶のない日記が存在していることがあるが、実はこれは大して怖い話でもない。大概が外で飲んできた日の日記で、つまりアルコールで記憶を失っているだけである。記憶を失うほど飲むなとのご意見はありがたく頂戴しておく。
それでは何が怖いかというと、この日記に書いたことが時折反転するのである。例えば、神宮球場に野球を見に行った日記には「ヤクルトが負けた」と書かれているが、私の記憶でもニュースを調べても勝っている。これが一度や二度なら書き間違いと考えられるだろうが、幾度となく発生しているのだからそうとも言っていられない。時には人の生死に関わることまで反転しており、こんなことを間違うはずはないのだ。
ただ、単純に日記の記述が反転するだけで、実害はないから大したことはないのかも知れない。だが、大したことがないからこそ不気味に感じる。
実のところ、本当はもっと怖い話があるのだが、ここはそれを書くべき場所ではないし、書く余白もない。
月馬 久我宗綱 @kogamunetsuna
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