並行世界
散歩を終えて家に帰ると、時刻は十時になっていた。そろそろ、大学へ向かわなければ授業の出席が取れなくなってしまう。ボサボサの髪の毛を纏めて、ノートとかなどを事前に入れておいたリュクサックをかるい私は家を出た。
家から駅へは、徒歩十分ぐらい。その通りにいい匂いを漂わせるカレー屋がある。たまに食べたくなった時はふらっと寄ることもある。
駅へ着くと、リュックサックに付けている交通系電子マネーを改札に当てる。ピピッと音を立てて、通行を止めていた黒いの板が横に開く。
電車が参ります、とアナウンスが流れる。ガタンガタン、と車輪を線路に走らせて轟音を鳴らしながら駅のホームへ入ってくる。プシュー、と音を立てて扉は開く。肩やバックが誰かに当たらないようにと注意する。
電車の中は、昼時を迎える前ということもあるのだろう。がらんとしていて、立つ必要性は無さそうだった。手すり近くの席に座って、リュックサックから白いイヤホンを取り出す。手に持っていたスマホにイヤホンを取り付けて、私は歌を聞き始める。
イヤホンを付けてしまうと、自分のいる世界がもう1つ形成された気分になる。電車が走り、移り変わっていく変哲も無い景色は特別に見えて、少しおかしくも思える。
世界は呼吸ができているここしかないのだけど、今だけはもう一つだけあるように思える。この人が居なくてスッキリとしている電車内も、それの一環なのでは無いのだろうか。
もちろんそんなわけはなくて、この考えはただの厨二病をこじらせてしまった可哀想な結果であるのだ。その証拠に、大学前の駅に着いてる。もう一つ世界が、並行世界が存在しているというのならば、この駅には付かずに都市伝説の駅にでも着いていることだろう。
「どこ……ここ?」
◇◇◇◇
イヤホンを付けてしまうと、自分のいる世界がもう1つ形成された気分になる。電車が走り、移り変わっていく変哲も無い景色は特別に見えて、少しおかしくも思える。
世界は呼吸ができているここしかないのだけど、今だけはもう一つだけあるように思える。この人が居なくてスッキリとしている電車内も、それの一環なのでは無いのだろうか。
もちろんそんなわけはなくて、この考えはただの厨二病をこじらせてしまった可哀想な結果であるのだ。その証拠に、大学前の駅に着いてる。もう一つ世界が、並行世界が存在しているというのならば、この駅には付かずに都市伝説の駅にでも着いていることだろう。
「あれ……ここどこ?」
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