第5話 自分のスキルを知ろう

領主屋敷に戻ってきた俺達は、それぞれの部屋へ。


とりあえず俺は達彦君に与えられている部屋へと向かった。


今隣りの部屋を執事のセバスさんが俺用に模様替えしてくれているみたいだ。


「本当にごめんなさいね。全部僕の責任なんだ。」


またしても土下座で謝り続ける勇者達彦君。そりゃ、突然こんなところに呼ばれて困惑はしているけど、まんざらでもないんだよ。


大学4年の秋、同級生は次々と内定をもらっており、俺達が行けるような企業は既に採用を終えているところが多いのに、未だ1社も決まっていなかった。


奨学金の返済もあるし、留年は出来ないし。アルバイトで生活費を稼ぐだけでも大変で、これ以上就活は無理!って思ってた時にこちらの世界に召喚されて生活環境は一変。


俺としては、どん詰まりの生活をリセット出来るチャンスだとワクワクしているところもあるんだ。


領主様も落ち着くまでは生活を見てくれるって話だし。

だからそんなに謝らなくても良いんだけどな。


まあ高校生の達彦君に説明しても分からないと思うから、言わないけどね。



少し落ち着いた達彦君と教育係のベンズさんから話しを聞くことに。


まず、召喚とスキルについて。


スキルは地球にもあるみたいで生まれてから大なり小なり皆んな持っているらしい。


ただ、魔素と呼ばれる不思議物質が無いとほとんどのスキルは起動しないらしい。


地球には魔素がほとんど存在しないから、スキルが発動することも無く、当然スキルの概念が無いのだ。


稀に魔素に依存しないスキルや、超強力なスキルを持つ者が超能力者と呼ばれる存在。


第6感が利くとか、薄い魔素により発動した極小規模の超能力と言われているものなんかがそうみたいだね。


だから、召喚仕様書に召喚者に望むスキルを書いて魔方陣に組み込むと、あっちの世界では無用の長物である該当のスキル持ちから召喚者が選抜されるって仕組みらしい。


それなら、召喚仕様書を描かずに召喚された俺が、こちらの世界で必要とされるスキルを持っていなかったとしてもなんの不思議もない。


他の世界に召喚されていたら、俺も勇者だったのかもしれないし。



で、気になるのは土属性について。


一応こちらのスキルもあったのに何故あんなに落胆されたのか?


それは、土属性が廃スキルだったから。


というか、土スキルを持っている者が、ほとんどいないのだ。


古文書には土属性に関する記述がいくらかあるそうで、それによると、『上位土属性スキル持ちが敵の急襲時に、瞬時に陣地を構築し街を守った』っていう記述が1ヶ所あるくらいで、その他には全く存在しないらしい。


また、中級以下の者も極稀に生まれるそうだが、せいぜい花壇の整地や、土を固める程度しか出来ないらしい。


その上、現在では保有者数もほとんど居ないから、廃スキルって呼ばれてるんだって。


で、俺のスキルは土属性 中.....  ダメダメじゃん。


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新作いかがでしょうか?


何かコメント頂ければ嬉しいです。1ページ当たりの文字数を減らしたり、文調を変えてみたりと少し変化を加えていますので、その辺りの評価も頂ければ幸いです。


よろしくおねがいします。


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