第9話 A broken heart of mine
「爺さーん、遅くなって悪かったねやー。帰る途中で道間違えたもんだすけ、Uターンしてきたんだわ。あーっ、てぇ~そ」
首に巻いた白い手ぬぐいで顔をぬぐいながら、そして、おそらく痛めているであろう腰をくの字に曲げながら、彼女はパートナーのもとに向かって行った。ぼくと同い年くらいの老人が、彼女に向かって、大きく手を振っている。2人は合流し、何か話をしている。やがて老夫婦は田んぼの畔に並んで座った。彼女は黒い長靴をぬぎ、おにぎりを食べ始めた。ほんの一瞬、2人はこちらを振り返ったような気がするが、すぐに食事と会話に戻った。仲の良い老夫婦は、農作業のお昼休憩に入ったのである。
彼女がかぶった麦わら帽子が、風にあおられ、飛んで行った。
ぼくはエンジンを始動させた。
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