第10話 Epilogue(完結)

 一目惚れ、失恋、片思い…色々な言葉が自然と頭に浮かんでくる。80年間生きてきて、何度も経験してきたはずなのに、今回のダメージは大きかった。家路へ向かう軽トラの中で、ぼくは帰宅した後のことを想像した。

 多分、いつもと同じく、こんな風に言われるんだろう…


「おい、爺(じじい)!遅っせえんだよ!あたしのタバコ買ってくんのにどんだけ時間かけてんだよ。腹減ってんだよ!とっとと昼飯作って食わせろやこのアホ!孫の面倒も見ねえで、あたしがさっきまでどんだけ大変だったか想像しろや、この役立たずが」


 息子の嫁が、鬼の形相で、ぼくの帰りを待っている。

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