第4話 Chasing

□Side-A3

 彼女の車の助手席を確認する。2シーターの助手席は空いていた。彼女は1人なのだ。気が付けば、ぼくは2シーターを追いかけていたのである。

 追いかけてどうするつもりなのか、正直分からない。もっとも、僕には時間がある。なんたって無職なのだ。このまま彼女を見失うのだけは避けたかった。ただただ理由もなく、前を走る2シーターを追跡しているのだ。彼女と連なり、同じ道を辿たどっていることに、ぼくは興奮していた。まるで、それぞれの車でドライブデートしているような錯覚に、ぼくは快感すら感じていた。


■Side-B3

 綺麗なホワイトに輝くフェアレディを、僕は追跡していた。追いかけてどうするつもりなのか、正直分からなかった。もっとも、僕には時間があった。なんたって無職だったのだ。このまま彼女を見失うのは避けたかった。ただただ理由もなく、前を走る彼女の車を追跡したのであった。

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