第3話 A white car

□Side-A2

 彼女は、コンビニで買ったレジ袋を手にし、ぼくが止めた駐車エリアに向かってきた。やや前傾姿勢なのは歩く時のクセなのか、あるいは腹痛でも患っているのか。ちょっと気にしていると、彼女はいきなり胸のポケットからキーを取り出し、リモートで車を開錠した。僕の車の2台隣。白の2シーターが、彼女の車だった。輸入車だったか国産車だったか…忘れた。

 褐色の細い腕が、2シーターのドアを開け、彼女はドライバーズシートに身体を滑り込ませた。その一連のしなやかな動きが、ドラマのヒロインのようにぼくの目に映った。爽快なエンジン音を響かせるやいなや、白の2シーターは、僕の前を颯爽さっそうと通り過ぎて行った。


■Side-B2

 彼女は、コンビニで買ったレジ袋を手にし、僕が止めた駐車エリアに向かってきた。颯爽と歩いてくる彼女に、たくさんのスポットライトが当てられていた。いや、実際はそうでなくて、彼女がまぶしく輝いて見えたのだ。彼女は僕の2台隣の2シーターに乗り込んだ。日産フェアレディZ。色はホワイト。爽快そうかいなエンジン音を響かせ、彼女の車は、僕の前を颯爽と通り過ぎて行った。

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