第2話 Love at first sight

□Side-A1

 一目れだったと思う。たった15分前のこと。コンビニでタバコを買い、マイカーに乗り込みエンジンをかけようとしたそのとき。コンビニから出てきた一人の女性に、不覚にも、ぼくは一目惚れしてしまったのだ。

 この辺では見たことがない、洗練された美しい女性だった。年はぼくと同年代か、そのやや下か。麦色のレディースハットをやや斜めにかぶり、真っ白なスカーフを首に巻いている。厚底ブーツというのか?おしゃれな黒いブーツが、形の良い両足を包んでいる。最近海や山にでも行って遊んできたのだろうか?顔や手足はやや日焼けしているように見える。いや、実際はそうでなくて、外回りの多い仕事、例えば保険の外交員とか、自社製品をPRして回る営業ウーマンとかかも知れない。いずれにせよ、カカオ90%の板チョコを連想させる美しい褐色の肌は、彼女によく似合っていて、ぼくが一目惚れするのも、極めて自然なことであった。


■Side-B1

 一目惚れだったと思う。コンビニの駐車場で、彼女と初めて出会ったあの日。今も鮮明に思い出す。洒落しゃれた帽子に黒のロングブーツ。首に巻いた真っ白なスカーフ。彼女が身に付けたすべての物体が、彼女の美しさを上手に演出していた。

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