ちょっぴり楽しい女子高生との金縛り生活

第32話

ｶﾞﾁｬ

「はぁ、はぁ……」

「なんとか出られたな……」

「大丈夫か……？」

「煙は吸ってないか……？」

「……」

「あれ？」

「あれあれあれあれ？？？」

「なんでだ！？」

「なんで私は外に出られたんだ！？」

「……」

「よく分かんないけどやったぞ！」

「外に出られたおかげで君を助けることができた！」

「君が無事で良かった！」

「君との最後の日にこんなことになるとは……」

「でも、君が無事なら何でもいい！」

「良かった……」

「本当に良かった……！」

「……」

「それじゃあ」

「君も無事だったことだし」

「そろそろお別れだな……」

「……」

「君と出会えて良かった！」

「大好きだ！」

「ありがとう！」

「さようなら！」

「……」

「……」

「なあ……」

「あの……」

「別れの挨拶をしたところ悪いんだが……」

「君の家、燃えてるし……」

「帰る場所が無いんだが……」

「それに……」

「私も外に出られるようになって……」

「消える気配が無くなったんだが……」

「……」

「もしかして」

「私が感じてた気配って……」

「住む場所がなくなる予感だったのか？」

「……」

「だとしたら私は地縛霊を卒業か？」

「……」

「じゃあこれからは……」

「君に憑くってことになるのか……？」

「……」

「ふっ」

「ふふふふっ」

「あはははは！」

「まさか、こんな事になるとは！」

「……」

「まだしばらくは君と一緒にいられるみたいだな」

「しかも、今度は君と一緒に外に出られる！」

「一緒に買い物にも行ける！」

「最高だ！」

「制服は燃えてしまったが……」

「今はこれがあるからな」

ﾋﾗｯ

「君からのプレゼントだ」

「とても気に入っているよ」

「でも……」

「これからはサンダルが必要だな」

「楽しみにしてるよ」

「だからこれからも」

「毎日金縛りをかけてやるからな」

「覚悟しておけ」

「それじゃあ」

「また明日、な！」

――完――