第24話

「ふふん」


「やあ」


「おはよう」


「……」


「いや、なんというか……」


「朝から一緒にいるのに、おはようと言うのも違和感があるな、と思っただけだ」


「朝と言えば……」


「君は今日、朝ごはんを食べていたな」


「しっかりと見ていたよ」


「それに書き置きも読んだ」


「『あなたの手料理だと思って食べました。美味しかったです!』」


「……」


「う、うん」


「それは良かった」


「喜ばしいことだ」


「でも……」


「君が食べてたのって、栄養補給のゼリー飲料とプロテインバーだよな」


「私は大手食品メーカーじゃないぞ」


「そんなものは作れん」


「まあでも……」


「真夜中に『朝食を食べろ』とか言われても用意できないよな」


「いきなり言ってすまない」


「次からは余裕を持って話をしよう」


「……」


「でも君はさすがだ」


「今日は即席で朝食を食べたし」


「明日の朝食も買ってきていたな」


「たしか……」


「たまごサンドだったか」


「冷蔵庫に入れてたのを見たぞ」


「あれは私が作ったってことにしよう」


「私の手料理を楽しむといい」


「……」


「なんだか罪悪感があるな……」


「やっぱり嘘をつくのは苦手だ」


「もうこの話は止めにしとこう」

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